駆け出しCEのblog

臨床工学技士として日々勉強しております。 このブログでは、自身の知識や学んだことを他のコメディカルとも共有したいと思い作成しています。

カテゴリ: 呼吸療法


【はじめに】

呼吸器を設定・使用するうえで、コメディカル自身も疾患系も覚えないといけないなぁーーーっと、臨床現場に出て気づきました。その理由として、お医者さんは万能では無く、熟練度も差があり、業務が多忙であるため、大まかな設定をコメディカルに頼ることもあります。

その時に、どんなに人工呼吸器の構造原理や動作を理解してても、期待に応えることが出来ないです。なので、医学も工学的に考え覚えようと思ったのが、きっかけです。

 

【簡易モデルと定義】

まず、換気障害の簡易モデルは、肺全体を「気道」と「肺胞」の大きく2つに分けて考えます。

ちなみに下の図が正常だとすると、、、

気道・肺胞の簡易モデル


閉塞性換気障害は、、

閉塞性換気障害簡易モデル


正常な肺より気道が細く表現されています(わかりやすく赤で表示してます)

 

閉塞性換気障害の定義は、本屋やインターネットで調べればすぐ出てくるんですが一応書いときます。


換気障害の病態分類


スパイロメータという医療機器での検査で、

%肺活量は80%以上で正常、

一秒率は70%以下で異常の場合、「閉塞性換気障害」だと分かります。

 

%肺活量(ぱーせんとはいかつりょう)について、

肺活量は、肺で呼吸時に移動できる最大の空気量です。

測定者の①性別、②年齢、③身長で「予測肺活量」が出てきます。

予想肺活量算出式

%肺活量は、実測の肺活量と予測肺活量の割合のことです。

%肺活量算出式

一秒率について

限界まで息を吸った状態(肺活量)から、一秒間で吐ききった量(一秒量)の割合。

一秒率算出式

閉塞性換気障害は、一秒間で肺活量の70%以下しか呼出できないということであります。

なので、肺胞ではなく気道の異常がかんがえられ、なんらかしらの異常によって気道抵抗が上がり、呼気流速が遅くなってしまったと考えられます。

 

 

【閉塞性換気障害の代表疾患】

1.気管支喘息 (気管のリモデリングによる気道閉塞)

2. COPD:慢性閉塞性肺疾患 (肺胞の弾性力低下による気道虚脱もある)

3.気道異物 (異物が気流の抵抗になる)

 

【時定数τの考え方】

時定数τ(タウ)とは、簡単に言うと、「安定するまでの変化の時間」です。一般的には電気工学の分野のカットフィルタで使用されます。

なぜ、呼吸の事を書いているのに急に時定数を出したかというと、電気工学の考えが換気障害の考え方をシンプルさせるので、だしました。

 

電子工学では「時定数τ=RC」です。Rはレジスタンスの抵抗値、Cはコンデンサの静電容量を表しており、コンデンサに電子が満杯になるまでの時間を時定数で予測することができます。例えば、コンデンサの容量が大きかったら、、、それはもちろん満杯になるまで時間がかかります(×2C=2τ)。レジスタンスの抵抗値が大きかったら、、、コンデンサに入る電子の流入速度がレジスタンスによって遅くなるので、同じく時間がかかります(2×C=2τ)。逆にそれぞれが小さくなったらと考えたら想像できると思います。

 

その関係性が「気道=レジスタンス」・「肺胞=コンデンサ」に近似しています。

今回の閉塞性換気障害は気道抵抗に伴う時定数τの上昇(変化量減少)となります。

 

私自身、電気電子工学が大好きなので医療現場にある電気電子工学もいつか書きますのでその時に詳しく説明します!!

 

【吸いやすく吐きにくい理由】

閉塞性換気障害では吸気はできるが、呼気しづらいそうです。気道抵抗が上がると吸気呼気ともにしづらくなると想像してしまうと思います。その理由は胸腔内圧によっての気道抵抗の変化です。

吸気時は大気を取り込むために胸腔内圧は陰圧になります。そうなると気道が周りから引っ張られるので気道が広がり、気道抵抗は下がり、吸気はスムーズになります。

呼気時の大気に肺の空気を吐き出すために胸腔内圧は陽圧になります。そうなると気道が周りから押されるので気道が狭まり、気道抵抗は上がり、呼気がしづらくなります。

気道抵抗説明用

さいごに】

あと拘束性換気障害と呼吸不全(拡散障害、換気血流不均衡、シャント、肺胞低換気)も書く予定になっています。呼吸器疾患はこれらの組み合わせが症状になっているので、暗記する量が減ると思います。

 

【参考資料】

1. 病気が見えるvol 4 呼吸器

2. 臨床工学ライブラリーシリーズ② 生体物性/医用機械工学













【はじめに】

呼吸器を患者さんに装着して、患者さんの呼吸の状態を把握するために、グラフィック波形があります。波形の形や大きさで患者さんの呼吸の状態を予想出来たり、適切な呼吸器の設定かどうかもわかります。今回はループ波形の圧量曲線について書きます。

 

【圧量曲線について】

圧量曲線は、縦軸が容量[mL]で、横軸が圧力[mmH2O]のグラフで出来ています。陽圧換気の場合は、反時計周りに吸気⇒呼気の順番で波形は作られます。正常な波形は「葉っぱ」に似ています。

圧曲線について


圧容量曲線から解ること、

   コンプライアンス

   呼吸仕事量:気道抵抗

   適正PEEP()

   肺胞過伸展

これら4つについて解説します。

 

コンプライアンス】

コンプライアンスとは、簡単に言うと肺の柔らかさを表しています。単位は[L/mmH2O]なので、このグラフ自体が、肺の柔らかさを表すグラフといっても過言ではございません。

 

その柔らかさを見定め方は、グラフの始点と、呼気と吸気の切り替わりのところを、繋いだ接線の「傾き」で肺の柔らかさが分かります。

 

正常コンプライアンス

正常コンプライアンス


高いコンプライアンス(柔らかめ)

正常コンプライアンス


圧がそんなにかかっていないけど、換気量が入っているのが分かると思います。

なのでこの波形の肺は、柔らかい=高いコンプライアンス といえます。

 

低いコンプライアンス(かため)

低コンプライアンス


圧が高くかかっているけど、換気量が入っていないのが分かると思います。

なのでこの波形の肺は、かたい=低いコンプライアンス といえます。

 

ザックリいうと

傾きの、「倒れ気味」と「立ち気味」のどっちかで、直感的にわかるということです。

 

 

呼吸仕事量:気道抵抗】

波形の「面積」でもわかることがあります。

それは、

呼吸仕事量①



オレンジ色で塗られた面積で呼吸仕事量が分かるということです。

具体的に言うと「この面積と呼吸筋の消費する酸素量が比例関係である」ということです。

 

まず、この塗られた面積を分割し説明します。

呼吸仕事量②


この塗られた面積は、「弾性抵抗に対する仕事」を表しています。

そうなるとコンプライアンスが低い方が、呼吸仕事が多いことが分かります。

 

残りの面積は、「粘性仕事量に対する仕事」を表しています。

粘性仕事量の大部分が気道抵抗を表しています。

 

呼吸仕事量③



吸気(下)のカーブが、曲がっているほうが、気道抵抗が多いことになります。

 

気道抵抗が大きい場合、、、


呼吸仕事量④


という波形になります。

適正PEEP()

適正PEEPの正確な指標ではなく、PEEPの設定を参考程度に見ている施設もあるということを踏まえて読んでください。

 

適正PEEP

このような波形は特別珍しい波形ではありません。

 

呼吸器疾患がある場合、正常な肺胞と虚脱した肺胞が混ざっている状態にあります。

すると回路内圧の上昇で、虚脱した肺胞が拡張し動員され、ある圧で急激に換気量が増加する。その気道内圧をinflectin pointといい、日本語で「変曲点」といいます。

 

なのでinflectin point PEEPにすると虚脱した肺胞を拡張させたままにできます。

 

肺胞過伸展】

肺胞過伸展


この「鳥のくちばし」みたいな形は肺胞過伸展を表しており、一回換気量が適正より多いことを表しています。

 

回路内圧は上がっているのに、換気量が入らないので鋭い波形になっています。

 

この場合は一回換気量を下げると波形はもとに戻ります。




【はじめに】

以前にMasimoパルスオキシメータの測定項目について書きました。今回は、Masimoパルスオキシメータの中でもMasimo Rainbow SETで測定される項目について簡単にまとめていきたいと思います。

 

SpHb

SpHbは日本語にするとトータルヘモグロビン濃です。従来のヘモグロビン濃度の測定は、採血を行う必要があったため侵襲的でした。しかしSpHbは非侵襲的にヘモグロビン濃度を測定できます。さらにヘモグロビン濃度のモニタリングも可能であるため、手術時や救命救急での輸血などの指標となります。

 

PVI

PVIは日本語にすると脈波変動指標です。脈波変動指標を算出するのに必要なパラメータとしてPIの最大値と最小値であり、算出式を下記に示します。

PVI算出式


 

PVIPIの呼吸性変動を表したものであり、輸液の指標となります。PVIに適正値はないのですが、脱水ほど高値になります。従来の輸液指標のパラメータは、中心静脈圧といった侵襲的なものですが、Masim Rainbow SETでは、非侵襲的にモニタリングができます。


 

SpCO

SpCOは日本語にするとカルボキシヘモグロビンです。血中のヘモグロビンの中で一酸化炭素(CO)と結合したヘモグロビンの割合です。COと結合したヘモグロビンは、酸素と結合ができなくなります。一般的な健常人の場合は02%の間で推移していますが、CO中毒などの場合は数値が上昇します。算出式を下記に示します。

 

SpCO2算出式


SpMet

SpMetは日本語にするとメトヘモグロビンです。メトヘモグロビンは異常ヘモグロビンの1つであり酸素と結合できません。SpMetでは、メトヘモグロビンの割合を表したものであり、下記の式で表すことができます。

 

SpMet算出式


 

NO療法を行う場合にメトヘモグロビンが生成されるため、NO療法を行う際には経時的なモニタリングが必要となります。




【はじめに】

Masimo社製のパルスオキシメータを病院内で使用しているとき、医師や看護師から表示している数値が何を意味しているのかを聞かれる場面があります。

そういった場面でもしっかりと対応できるように、測定項目の意味はしっかりと把握しておく必要があります。

今回は、Masimo Rainbow SETの測定項目について簡単にまとめていきたいと思います。

 

SpO2

SpO2は日本語にすると動脈血酸素飽和度といいます。Masimoに限らず、パルスオキシメータで測定できる一番基本的なモニタリング項目です。SpO2の意味が分からない医療従事者はいないと言っても過言ではありません。

SpO2はその名の通り、動脈血に含まれるHbの何%が酸素と結合しているかを表したものです。つまりSpO295%だと、血液中に含まれるヘモグロビンの約95%は酸素と結合しているということです。

 

PR

PRは日本語にすると脈拍数です。脈拍とは、心臓が拍動することで動脈壁が拡張することをいい、一般的には、1分間あたりの脈拍の回数を脈拍数といいます。正常安静時での脈拍数は、一定のリズムを維持しており成人で1分間に60100回生じます。

脈拍数と一緒に脈波波形も表示されるため、脈波形の形と脈拍数にて患者の容態を把握することができます。

 

PI

PIは日本語にすると灌流指標です。PIの測定は脈波形より算出されており、拍動成分と非拍動成分の比率を%で表したものであり、下記の式で表すことができます。

 

PI(拍動成分/非拍動成分)×100

 

PIから得られる情報は、末梢循環の良し悪しです。

 

【参考】

http://www.masimo.co.jp/Rainbow/about.htm



【はじめに】

在宅での酸素療法や人工呼吸器を使用する場合、病院とは違い一般家庭にはガスを供給する配管がありません。

そのため、在宅で酸素療法や人工呼吸器を使う際には酸素濃縮装置が必要になります。

近年、在宅医療に注目が集まっておりそのニーズも高まっております。今回は、在宅酸素療法および呼吸療法を行う際必要となる酸素濃縮装置について基礎の基礎をまとめていきたいと思います。

 

【酸素濃縮器の種類】

酸素濃縮装置は、酸素の濃縮方法で下記の2種類に分類することができます。酸素の濃縮方法の違いで、特製も変わってくるため保守点検を行うためにもその特性を把握しておく必要があります。

 

   吸着型酸素濃縮装置

空気中に含まれるガスのほとんどは窒素であります。つまり、窒素を取り除くことで高濃度の酸素を投与することができます。

吸着型酸素濃縮装置は、窒素を吸着する吸着材(ゼオライト:アルミノ珪酸塩)にガスを供給することで窒素の除去を行います。

まず、加圧したガスをゼオライトへ供給して窒素をゼオライトへ吸着させ取り除きます。次に、減圧したガスを供給することで吸着した窒素をゼオライトから取り除きます。

この繰り返しにより酸素濃度の高いガスを作成し供給することができます。

 

   膜型酸素濃縮装置

酸素透過性の高い高分子膜に対し送風機よりガスを供給します。すると、高分子膜の反対側には酸素が通過するため酸素と窒素を分離することができます。

 

【特徴】

   吸着型酸素濃縮装置

90%以上の酸素濃度

・膜型酸素濃縮装置に比べ低流量

・窒素と一緒に水分を吸着するため、加湿器が必要になる

   膜型酸素濃縮装置

・酸素濃度は40%程度

・吸着型酸素濃縮装置に比べ高流量

・加湿器が不要

 

 

【はじめに】

SLE5000TOKIBO社製の新生児用・小児用人工呼吸器です。新生児用というものもあり、モードにはHFOVがあります。

SLE5000は他の人工呼吸器との違いが面白いと思い書きたいと思います。

 

SLE5000の違い】

SLE5000には、大きく2つの違いがあります。1つ目は、複合型の換気モード。2つ目は、呼気弁が無いことです。

 

    HFOVCMVが合体したモードについて

 

CMV+HFO


HFOVより換気量を増やし、CMVより平均気道内は上昇しないモードになっています。

 

    呼気弁が無いことについて、

呼気弁がないシステムのことをバルブレスシステムといいます。じゃあ弁が無くどうやって吸気や呼気の切り替えをしているのかというと、呼気側から患者に向かってガスを噴射して吸気圧を作っています。噴射する方向を患者と逆方向に噴射することで、ベンチュリー効果により呼気側から陰圧を発生させることも可能だそうです。

 

【最後に】

私自身、NICUでの経験も浅く、勉強不足でありますので、これらの相違点が、他の呼吸器より優れているかどうかは判断できません。多く勉強し、観察することで、新生児呼吸器の多種を中立に評価しブログに頑張ります。

【はじめに】

高頻度振動換気(High Friquency Oscillatory Ventilation:HFOV)は、主に新生児領域で使用される人工換気法であります。私の勤める病院でもHFOVを行う症例はありますが、あまり多くないのが現状であります。

今回は、HFOVについて簡単にまとめていきたいと思います。

 

HFOVとは】

HFOVは、死腔量よりも少ない一回換気量を1秒間に10~20回送気するという人工換気法であります。1回の送気ガスは少なくなりますが、総換気量においては通常の人工換気を上回ることになります。少ない一回換気量にて送気を行うことから気道内圧の急激な上昇を防ぐことができます。そのため、新生児の未熟な肺にたいして有効な人工換気療法の1つとなっています。ちなみに一回換気量は、体重1kgあたり12mL程度です。

HFOVは、送気方式の違いにより複数に分類することができます。その中でもピストン式が最も使用されており、私の勤める病院でもピストン式を使用しています。

ピストン式HFOVの送気ガス波形は正弦波(sin)となっています。通常の呼吸器では、吸気を人工呼吸器が制御しますが、HFOVの場合は吸気・呼気両方を人工呼吸器により制御します。

 

【適応疾患】

HFOVは、気道内圧の急激な上昇を防ぐことができるため、肺コンプライアンスの低い症例に対して有効だとされています。新生児の場合だと、肺サーファクタントの産生ができずに生じる急性呼吸窮迫症候群が挙げられます。また、肺内出血を伴う症例に対して有効であったという報告もあります。

逆にHFOVの効果が期待できない症例としては、上気道閉塞のある疾患や粘度の高い気道内分泌物のある疾患などが挙げられます。

 

HFOVの効果】

   急激な気道内圧の上昇を防ぐことができる。

死腔量よりも少ない一回換気量により急激な圧変動がないため。

 

   平均気道内圧の上昇。

高頻度での送気を行うため、PEEP効果が得られるため、平均気道内圧が上昇する。

 

   吸気・呼気ともに制御できる。

ピストンの押し引きにより正弦波状の送気波形が生じるため。

 

【さいごに】

私の実感としては、HFOVを使用する症例は年々減ってきています。その要因としては、人工呼吸器の性能が高くなっており他の換気モードでも気道内圧などのコントロールが可能になっているためだと考えられます。しかし、HFOVを必要とする場合もありますので基本的な理解は必要と言えます。

 

 

【はじめに】

酸素解離曲線は、患者さんの呼吸管理を行う上でおさえておかなければならない知識の1つです。私自身も学生時代に何となく暗記していましたが、臨床の現場で人工呼吸器や補助循環、人工心肺などの業務に関わるうちに、しっかりとした理解が必要だと感じました。

本日は、酸素解離曲線を理解するために必要最低限の知識をまとめていきたいと思います。

 

【酸素解離曲線とは】

酸素解離曲線とは縦軸に動脈血酸素飽和度、横軸に動脈血酸素分圧をとり、動脈血酸素飽和度と動脈血酸素分圧の関係を示したS字状のグラフになります。どのようなグラフか気になる方は、Googleで検索してみてください。

ヘモグロビン1つに酸素は4つ結合するが、酸素と結合していない状態及び4つの酸素と結合している状態が安定状態となります。そのため、ヘモグロビンに酸素が1つ結合すると、2つ目3つ目と次々に酸素とヘモグロビンが結合していきます。つまり、最初の1つが結合するまでが困難であり、最初の1つが結合してしまえば、4つまで酸素が次々と結合するのであります。そのため、酸素解離曲線はS字状となり、S字状を形成する要因をアロステリック効果といいます。

 

Bohr効果】

酸素解離曲線が右方変位することを、Bohr効果といいます。通常の酸素解離曲線は、動脈血酸素分圧が60mmHgのとき、動脈血酸素飽和度は90%となっていますが、Bohr効果が生じると動脈血酸素分圧が60mmHgでも動脈血酸素飽和度が80%70%と低くなります。この状態は、ヘモグロビンと結合する酸素の割合が少なくなるということになりますが、組織への酸素供給が増えたため、ヘモグロビンと結合している酸素が解離して組織へ供給されたとも言えます。

上記のことより、Bohr効果が生じるということは、組織が酸素を欲しがっている状況といえます。Bohr効果が生じることで、酸素が消費され二酸化炭素や解糖系の中間代謝産物である2-3DPGが増加します。その結果、pHが低下して酸性へと傾きます。

なお、酸素が必要な状況下は代謝が亢進している場合であるため、体温も上昇します。

 

Haldane効果】

酸素解離曲線が左方変位することをHaldane効果といいます。Haldane効果は上記で説明したBohr効果と正反対の反応となりますので説明は割愛させていただきます。Haldane効果については、Bohr効果に比べて名前を知らない人が多く、教科書などにもなかなかでてきません。

 

【さいごに】

呼吸療法、人工心肺、補助循環を行う上で酸素解離曲線は基礎中の基礎であります。

特に、人工心肺では低体温下や復温後など体温の変化が大きくなります。その中で呼吸管理を行わなければならないため、非常に困難となります。組織の酸素需要をコントロールする業務の1つであるため、注意が必要になります。

 

【はじめに】

V60は、フィリップス・レスピロニクス社製の人工呼吸器であり、非侵襲的陽圧換気(non-invasive positive pressure ventilationNPPV)専用であります。私の勤める病院でもV60を使用しており、ウィーニング後や呼吸状態の悪い患者さん(経鼻にて酸素投与してもSpO2の低い患者)に使用されます。

V60は、集中治療や病棟など幅広く使用されるため、臨床工学技士ではなくても基本的な知識を持っていても損はないと思います。

 

【ディスプレイ表示】

では、V60のディスプレイ表示について説明します。V60のディスプレイ表示は、上部、中部、下部に分けられており、それぞれが何を示しているのか把握しておく必要があります。

ディスプレイ上部に表示されているのは、患者データとなっています。つまり、患者さんの呼吸状態の実測値となります。項目としては、換気回数、一回換気量、吸気圧などがあります。

ディスプレイ中部に表示されているのは、換気パターンとなっています。表示される波形を見ながら、患者さんの吸気と呼吸器の送気のタイミングが合っているかなどを判断します。また、視覚的に患者さんの呼吸状態がわかりやすいので、換気波形は注意して観察しておく必要があります。

ディスプレイ下部に表示されるのは、人工呼吸器の設定になっています。換気モードや各種設定値、アラーム設定などです。V60の設定に関するものは、ディスプレイ下部で調整することになります。

 

【使用できる換気モード】

V60で使用できる換気モードはS/TPCVAVAPSCPAPの4つであり、患者さんの状態によって決定します。私が業務中に見たことがあるのはS/TPCVCPAPの3つであり、AVAPSに関しては臨床使用を見たことがありません(私個人の経験)。では、それぞれのモードについて説明していきたいと思います。

  S/T

S/Tは、Spontaneous/Timedの略称であります。Spontaneousを直訳すると「自発的や自然的」となります。つまり、人工呼吸器が患者さんの自発呼吸に同期して送気を行うモードとなります。イメージとしてはPSV(pressure support ventilation)のように、患者さんの吸気努力時に呼吸の手助けを行う感じであります。

患者さんの吸気努力が弱い場合は、V60が患者さんの吸気努力を認識しないということもあります。私の勤める病院では、V60を使用するときの大半はこの換気モードで行っております。

 

  PCV

PCVpressure control ventilationの略称であり、日本語に訳すと圧規定換気となります。患者さんの自発呼吸に合わせて一定の圧力をかけることで換気の補助を行います。また、患者さんの自発呼吸が一定の間隔なければ送気を行います。V60を使用する患者さんの中でも自発呼吸の安定しない患者さんに対して使用されるモードとなります。

 

  CPAP

CPAPcontinuous positive airway pressureの略称で、日本語に訳すと持続的気道内陽圧となります。つまり吸気・呼気関係なく、気道内に圧力を加えるという換気モードです。

 

  AVAPS

AVAPSAverage Volume Assured Pressure Supportの略称で日本語では呼ばれることは少ないのですが、日本語では平均換気量保証機能と呼ばれます。このモードは指定する換気量を維持するため、圧補助を自動的に行います。つまり、患者さんの呼吸状態にあわせてサポート圧を変化させ、設定した換気量を維持するモードです。

私自身は、このモードを使用しているのは見たことがありません。

【はじめに】

吸気呼気比逆転換気は英語にするとInverse Ratio Ventilationとなり、IRVと略されます。一般的には、呼気吸気比逆転換気とは呼ばれずIRVと呼ばれることが多いです。IRVは特殊な人工呼吸療法であるため、臨床の現場でも行っているのはほとんど見ることはないと思います。

今回は、IRVについての基礎的知識や効果について書いていきたいと思います。

 

IRVとは】

人工呼吸器の設定項目として吸気呼気比(IE)があります。通常の場合ではIE比を12に設定をして人工呼吸療法を行います。つまり、呼気時間を吸気時間の2倍設けることで、Auto-PEEPの発生などを防いでいます。

IRVの場合は、その名の通り吸気時間と呼気時間の比を逆転させます。つまり、吸気時間を呼気時間よりも長くするということです。適応となる症例については、PEEPによる酸素化が得られない場合、炭酸ガス排出困難な症例、最高気道内圧の異常上昇時などがあります。

 

IRVの効果】

吸気時間が呼気時間よりも長くなると、送気されたガスの呼出が終了しないまま、新たなガスの送気が行われるため、呼気終末の気道内圧が高くなります。このような状態をAuto-PEEPといいます。Auto-PEEPの状態では、肺胞虚脱が生じにくく常に肺胞が開いた状態になります。肺コンプライアンスの低い患者さんの場合、肺胞が虚脱してしまうと、再開通には高い圧力を必要とします。そうなると肺胞の圧損傷や、虚脱状態のまま再開通しないことがあるため、酸素化の効率がわるくなります。IRVの場合、肺胞虚脱を防ぐことでガス交換効率を高めています。

IRVを行う上で注意しなければならないのは、平均気道内圧の上昇による静脈還流量の低下です。静脈還流量が低下することで心拍出量の低下へとつながるため、IRVを行う場合は、循環動態の管理も必要があります。また、肺胞の圧損傷も考えられることから、血液ガスや白血球数などのパラメータにも注目しておく必要があります。

 

【さいごに】

IRVは一般的な人工呼吸療法ではなく特殊なものであるため、症例数が少なくなります。また、病院によっては使用経験がない場合もあると思います。文献も調べましたが数が少なく、古い文献が主になっていました。

私の勤める病院でもIRVを行っているのは、見たことがなく、気道内圧の管理や吸気呼気比の設定基準も明確なものがありません。今後、行われる際には注目して見ていきたいと思います。

では、最後まで読んでくれてありがとうございました。また更新していきたいと思います。

 

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