駆け出しCEのblog

臨床工学技士として日々勉強しております。 このブログでは、自身の知識や学んだことを他のコメディカルとも共有したいと思い作成しています。

カテゴリ: 呼吸療法

【はじめに】

高頻度振動換気(High Friquency Oscillatory Ventilation:HFOV)は、主に新生児領域で使用される人工換気法であります。私の勤める病院でもHFOVを行う症例はありますが、あまり多くないのが現状であります。

今回は、HFOVについて簡単にまとめていきたいと思います。

 

HFOVとは】

HFOVは、死腔量よりも少ない一回換気量を1秒間に10~20回送気するという人工換気法であります。1回の送気ガスは少なくなりますが、総換気量においては通常の人工換気を上回ることになります。少ない一回換気量にて送気を行うことから気道内圧の急激な上昇を防ぐことができます。そのため、新生児の未熟な肺にたいして有効な人工換気療法の1つとなっています。ちなみに一回換気量は、体重1kgあたり12mL程度です。

HFOVは、送気方式の違いにより複数に分類することができます。その中でもピストン式が最も使用されており、私の勤める病院でもピストン式を使用しています。

ピストン式HFOVの送気ガス波形は正弦波(sin)となっています。通常の呼吸器では、吸気を人工呼吸器が制御しますが、HFOVの場合は吸気・呼気両方を人工呼吸器により制御します。

 

【適応疾患】

HFOVは、気道内圧の急激な上昇を防ぐことができるため、肺コンプライアンスの低い症例に対して有効だとされています。新生児の場合だと、肺サーファクタントの産生ができずに生じる急性呼吸窮迫症候群が挙げられます。また、肺内出血を伴う症例に対して有効であったという報告もあります。

逆にHFOVの効果が期待できない症例としては、上気道閉塞のある疾患や粘度の高い気道内分泌物のある疾患などが挙げられます。

 

HFOVの効果】

   急激な気道内圧の上昇を防ぐことができる。

死腔量よりも少ない一回換気量により急激な圧変動がないため。

 

   平均気道内圧の上昇。

高頻度での送気を行うため、PEEP効果が得られるため、平均気道内圧が上昇する。

 

   吸気・呼気ともに制御できる。

ピストンの押し引きにより正弦波状の送気波形が生じるため。

 

【さいごに】

私の実感としては、HFOVを使用する症例は年々減ってきています。その要因としては、人工呼吸器の性能が高くなっており他の換気モードでも気道内圧などのコントロールが可能になっているためだと考えられます。しかし、HFOVを必要とする場合もありますので基本的な理解は必要と言えます。

 

 

【はじめに】

酸素解離曲線は、患者さんの呼吸管理を行う上でおさえておかなければならない知識の1つです。私自身も学生時代に何となく暗記していましたが、臨床の現場で人工呼吸器や補助循環、人工心肺などの業務に関わるうちに、しっかりとした理解が必要だと感じました。

本日は、酸素解離曲線を理解するために必要最低限の知識をまとめていきたいと思います。

 

【酸素解離曲線とは】

酸素解離曲線とは縦軸に動脈血酸素飽和度、横軸に動脈血酸素分圧をとり、動脈血酸素飽和度と動脈血酸素分圧の関係を示したS字状のグラフになります。どのようなグラフか気になる方は、Googleで検索してみてください。

ヘモグロビン1つに酸素は4つ結合するが、酸素と結合していない状態及び4つの酸素と結合している状態が安定状態となります。そのため、ヘモグロビンに酸素が1つ結合すると、2つ目3つ目と次々に酸素とヘモグロビンが結合していきます。つまり、最初の1つが結合するまでが困難であり、最初の1つが結合してしまえば、4つまで酸素が次々と結合するのであります。そのため、酸素解離曲線はS字状となり、S字状を形成する要因をアロステリック効果といいます。

 

Bohr効果】

酸素解離曲線が右方変位することを、Bohr効果といいます。通常の酸素解離曲線は、動脈血酸素分圧が60mmHgのとき、動脈血酸素飽和度は90%となっていますが、Bohr効果が生じると動脈血酸素分圧が60mmHgでも動脈血酸素飽和度が80%70%と低くなります。この状態は、ヘモグロビンと結合する酸素の割合が少なくなるということになりますが、組織への酸素供給が増えたため、ヘモグロビンと結合している酸素が解離して組織へ供給されたとも言えます。

上記のことより、Bohr効果が生じるということは、組織が酸素を欲しがっている状況といえます。Bohr効果が生じることで、酸素が消費され二酸化炭素や解糖系の中間代謝産物である2-3DPGが増加します。その結果、pHが低下して酸性へと傾きます。

なお、酸素が必要な状況下は代謝が亢進している場合であるため、体温も上昇します。

 

Haldane効果】

酸素解離曲線が左方変位することをHaldane効果といいます。Haldane効果は上記で説明したBohr効果と正反対の反応となりますので説明は割愛させていただきます。Haldane効果については、Bohr効果に比べて名前を知らない人が多く、教科書などにもなかなかでてきません。

 

【さいごに】

呼吸療法、人工心肺、補助循環を行う上で酸素解離曲線は基礎中の基礎であります。

特に、人工心肺では低体温下や復温後など体温の変化が大きくなります。その中で呼吸管理を行わなければならないため、非常に困難となります。組織の酸素需要をコントロールする業務の1つであるため、注意が必要になります。

 

【はじめに】

V60は、フィリップス・レスピロニクス社製の人工呼吸器であり、非侵襲的陽圧換気(non-invasive positive pressure ventilationNPPV)専用であります。私の勤める病院でもV60を使用しており、ウィーニング後や呼吸状態の悪い患者さん(経鼻にて酸素投与してもSpO2の低い患者)に使用されます。

V60は、集中治療や病棟など幅広く使用されるため、臨床工学技士ではなくても基本的な知識を持っていても損はないと思います。

 

【ディスプレイ表示】

では、V60のディスプレイ表示について説明します。V60のディスプレイ表示は、上部、中部、下部に分けられており、それぞれが何を示しているのか把握しておく必要があります。

ディスプレイ上部に表示されているのは、患者データとなっています。つまり、患者さんの呼吸状態の実測値となります。項目としては、換気回数、一回換気量、吸気圧などがあります。

ディスプレイ中部に表示されているのは、換気パターンとなっています。表示される波形を見ながら、患者さんの吸気と呼吸器の送気のタイミングが合っているかなどを判断します。また、視覚的に患者さんの呼吸状態がわかりやすいので、換気波形は注意して観察しておく必要があります。

ディスプレイ下部に表示されるのは、人工呼吸器の設定になっています。換気モードや各種設定値、アラーム設定などです。V60の設定に関するものは、ディスプレイ下部で調整することになります。

 

【使用できる換気モード】

V60で使用できる換気モードはS/TPCVAVAPSCPAPの4つであり、患者さんの状態によって決定します。私が業務中に見たことがあるのはS/TPCVCPAPの3つであり、AVAPSに関しては臨床使用を見たことがありません(私個人の経験)。では、それぞれのモードについて説明していきたいと思います。

  S/T

S/Tは、Spontaneous/Timedの略称であります。Spontaneousを直訳すると「自発的や自然的」となります。つまり、人工呼吸器が患者さんの自発呼吸に同期して送気を行うモードとなります。イメージとしてはPSV(pressure support ventilation)のように、患者さんの吸気努力時に呼吸の手助けを行う感じであります。

患者さんの吸気努力が弱い場合は、V60が患者さんの吸気努力を認識しないということもあります。私の勤める病院では、V60を使用するときの大半はこの換気モードで行っております。

 

  PCV

PCVpressure control ventilationの略称であり、日本語に訳すと圧規定換気となります。患者さんの自発呼吸に合わせて一定の圧力をかけることで換気の補助を行います。また、患者さんの自発呼吸が一定の間隔なければ送気を行います。V60を使用する患者さんの中でも自発呼吸の安定しない患者さんに対して使用されるモードとなります。

 

  CPAP

CPAPcontinuous positive airway pressureの略称で、日本語に訳すと持続的気道内陽圧となります。つまり吸気・呼気関係なく、気道内に圧力を加えるという換気モードです。

 

  AVAPS

AVAPSAverage Volume Assured Pressure Supportの略称で日本語では呼ばれることは少ないのですが、日本語では平均換気量保証機能と呼ばれます。このモードは指定する換気量を維持するため、圧補助を自動的に行います。つまり、患者さんの呼吸状態にあわせてサポート圧を変化させ、設定した換気量を維持するモードです。

私自身は、このモードを使用しているのは見たことがありません。

【はじめに】

吸気呼気比逆転換気は英語にするとInverse Ratio Ventilationとなり、IRVと略されます。一般的には、呼気吸気比逆転換気とは呼ばれずIRVと呼ばれることが多いです。IRVは特殊な人工呼吸療法であるため、臨床の現場でも行っているのはほとんど見ることはないと思います。

今回は、IRVについての基礎的知識や効果について書いていきたいと思います。

 

IRVとは】

人工呼吸器の設定項目として吸気呼気比(IE)があります。通常の場合ではIE比を12に設定をして人工呼吸療法を行います。つまり、呼気時間を吸気時間の2倍設けることで、Auto-PEEPの発生などを防いでいます。

IRVの場合は、その名の通り吸気時間と呼気時間の比を逆転させます。つまり、吸気時間を呼気時間よりも長くするということです。適応となる症例については、PEEPによる酸素化が得られない場合、炭酸ガス排出困難な症例、最高気道内圧の異常上昇時などがあります。

 

IRVの効果】

吸気時間が呼気時間よりも長くなると、送気されたガスの呼出が終了しないまま、新たなガスの送気が行われるため、呼気終末の気道内圧が高くなります。このような状態をAuto-PEEPといいます。Auto-PEEPの状態では、肺胞虚脱が生じにくく常に肺胞が開いた状態になります。肺コンプライアンスの低い患者さんの場合、肺胞が虚脱してしまうと、再開通には高い圧力を必要とします。そうなると肺胞の圧損傷や、虚脱状態のまま再開通しないことがあるため、酸素化の効率がわるくなります。IRVの場合、肺胞虚脱を防ぐことでガス交換効率を高めています。

IRVを行う上で注意しなければならないのは、平均気道内圧の上昇による静脈還流量の低下です。静脈還流量が低下することで心拍出量の低下へとつながるため、IRVを行う場合は、循環動態の管理も必要があります。また、肺胞の圧損傷も考えられることから、血液ガスや白血球数などのパラメータにも注目しておく必要があります。

 

【さいごに】

IRVは一般的な人工呼吸療法ではなく特殊なものであるため、症例数が少なくなります。また、病院によっては使用経験がない場合もあると思います。文献も調べましたが数が少なく、古い文献が主になっていました。

私の勤める病院でもIRVを行っているのは、見たことがなく、気道内圧の管理や吸気呼気比の設定基準も明確なものがありません。今後、行われる際には注目して見ていきたいと思います。

では、最後まで読んでくれてありがとうございました。また更新していきたいと思います。

 

【はじめに】

動脈血酸素分(PaO2)は脈血酸素飽和度(SpO2)に次いで患者さんの酸素化に関する評価を行うパラメータであります。動脈血酸素飽和度のように経時的なモニタリングを行うことはできませんが、ある一定の時間間隔で採血を行い、血液ガス分析装置にて測定します。

今回は、動脈血酸素分圧についてその意味と算出について書いていきたいと思います。

 

【分圧とは】

動脈血酸素分圧を理解するためには、「分圧」という言葉について理解する必要があります。分圧という言葉からある程度は連想ができると思いますが、簡単にまとめていきます。

私たちが暮らしている環境は、大気圧下であります。大気圧は1気圧ともいい、ミリメートル水銀柱(mmHg)で表すと760mmHgとなります。私たちが普段吸っている空気は約79%が窒素で約21%が酸素となっています。つまり、760mmHgの内酸素の占める割合は約150mmHg(760×0.21)となります。この150mmHgを大気中の酸素分圧といいます。

つまり、分圧とは1つの気体で占める圧力のことを指します。

 

【動脈血酸素分圧の算出】

動脈血酸素分圧の算出についてまとめていきたいと思います。まず、私たちが大気中から酸素を取り込むときは、大気圧(760mmHg)の約21%が酸素分圧であるため、

 

760×0.21=159.6mmHg(160mmHg)

 

気道から肺胞にかけて相対湿度が100%であるため、760mmHgのうち47mmHgが水蒸気分圧となる。さらに、気道中には生体から産生された二酸化炭素が含まれるため肺胞での酸素分圧は、

 

[(76047)×0.21]40/0.8=142.6mmHg=99.73(100mmHg)

 

となります。

肺胞から血液中へのガス移動は、拡散にて行われます。このとき、酸素分圧が5~15mmHg減少するため、動脈血酸素分圧は90mmHg前後になります。

【人工呼吸器使用時の動脈血酸素分圧】

上記で算出した動脈血酸素分圧は、健常人の日常生活中のものであります。

病院では、人工呼吸器により呼吸管理を行っている場合があります。このとき、吸入している酸素濃度が異なっているため、動脈血酸素分圧は100mmHg以上になる場合もあります。さらに、ECMO時の動脈血酸素分圧はさらに高い値となる場合もあります。

 

【さいごに】

途中の説明をかなり省きました。時間があるときに詳しい情報をまとめていきたいと思います。

ある程度の値を算出により求めて、実際の測定値と比べてみると日常の業務が有意義になりと思います。

ほとんどの場合、計算値と測定値は異なっており、さまざまな要因により動脈血酸素分圧が変化します。変化の要因を考えることで医療従事者としてのレベルの向上につながると思い、僕は実践しています。

【はじめに】

体内に含まれる酸素の指標として、動脈血酸素飽和度(SpO2)が考えられます。動脈血酸素飽和度は酸素と結合しているヘモグロビンの割合つまり酸化ヘモグロビンの割合を示したものであります。

生体に含まれる酸素は、ヘモグロビンと結合しているもの(結合型酸素)と血液中に溶け込んでいるもの(溶解型酸素)があります。動脈血酸素飽和度の場合は、結合型酸素に関するパラメータであるため、溶解型酸素については反映されておりません。

今回は、結合型酸素と溶解型酸素について簡単にまとめていきたいと思います。

 

【結合型酸素】

生体内に存在する酸素のほとんどが結合型酸素によるものです。そのため、集中治療室や手術室などにおける酸素化に関するモニタリングは結合型酸素に関するものです。

血液中に含まれるヘモグロビンは、酸素と結合し各臓器へ運搬する役割を担っています。ヘモグロビン1gに結合可能な酸素量は最大で1.39mLとされています。では、下記の条件にて体内に含まれる結合型酸素の量を求めてみます。

   ヘモグロビン濃度:15mg/dL

   動脈血酸素飽和度:98%

 

動脈血中の結合型酸素量=1.39[mL/g]×15[mg/dL]=20.85vol%

 

このように、動脈血中に含まれる結合型酸素の量は20.85vol%となります。

 

【溶解型酸素】

溶解型酸素はその名の通り血液中に溶け込んでいる酸素のことを指します。溶解型酸素は結合型酸素に比べ、非常に少なく特別な条件下でなければ増加しないため、人工呼吸器を使用するような場合でも注目されません。

溶解型酸素はヘンリーの法則に基づいて増減します。ヘンリーの法則とは、「温度が一定の場合、液体に溶け込む気体の量は圧力に比例する」というものです。すなわち、大気圧下にいる限り溶解型酸素は変動しないということです。

血液への酸素の溶解度は、1mmHgごとに0.0031vol%増加します。では、下記の条件にて体内に含まれる溶解型酸素の量を求めてみます。

   動脈血酸素分圧:100mmHg

 

動脈血中の溶解型酸素量=0.0031[vol%/mmHg]×100mmHg=0.31vol%

 

このように、動脈血中に含まれる溶解型酸素の量は0.31vol%となります。

 

【さいごに】

実際に算出してわかるように、生体内では結合型酸素の占める割合が大多数を占めます。このことからも、普段のモニタリングが結合型酸素の量を左右するパラメータであることが理解できます。

溶解型酸素を増やすことで酸素化を改善する治療法として、高気圧酸素療法があります。この治療についても今回のように、溶解型酸素について理解しておけば、酸素化の仕組みなども理解することができます。

【はじめに】

NPPVNon invasive Positive Pressure Ventilationの略称で日本語では、非侵襲的陽圧換気といいます。名前にも非侵襲的とあるようにNPPVは挿管下では無く、マスク換気にて患者さんの呼吸を補助します。

私の勤める病院では、抜管後の呼吸補助や慢性的な呼吸不全、などにNPPVが使用されており、急性期および慢性期の両方で適応されております。

今回は、NPPVについて簡単にまとめていきたいと思います。

 

NPPVの適応疾患】

NPPVの適応については、様々な疾患で報告がされています。今回は、様々な適応疾患の中で特にエビデンスレベルの高い疾患・場面を下記に示します。

   COPD急性増悪

   抜管およびウィーニング

   心原性肺水腫

   免疫不全患者

上記の項目に加え患者さん自身に意識があることや、挿管を必要としない、患者さんの協力が得られる、顔に創傷が無いなどの条件があります。

 

NPPVのメリット】

NPPVの最大のメリットは非挿管下であることです。非挿管であるため、患者さん自身で食事をとれることや会話ができるため、患者さんのQOL向上が図れます。さらに、気管チューブによる上気道などの損傷がないため、感染症のリスクが低下します。

 

NPPVのデメリット】

マスク換気であるため、基本的に患者さんの理解を得られなければならない。挿管時とは違い鎮静状態ではないため、患者さん自身でマスクの位置をずらすことや、取ってしまうことがあります。この場合、マスク外への送気ガスのリーク量が変わってくるため、思うような結果が得られない場合があります。また、在宅で使用する場合には患者さん自身または家族がマスクフィッティングを行わないといけません。

その他にも、長時間のマスク着用による圧迫で皮膚損傷の危険性もあります。皮膚損傷については、適切なマスク着用によりリスクを低減できますが、皮膚被覆材などを合わせて使用することでリスクはさらに低減することができます。

 

【さいごに】

私の勤める病院では、NPPVの導入時に臨床工学技士が立ち会うことになっております。マスクフィッティングについては看護師さんが行うことが多いですが、機器に表示されるリーク量などを見てマスクフィッティングが適切であるかの確認をします。

また、病棟によっては食事のために一時的に離脱・装着するときに、臨床工学技士に立ち会ってほしいと依頼されることもあります。そのときは、機器の設定や加温加湿器の設定を確認したりします。

NPPVを行っている患者さんには抜管直後で、いつ呼吸状態が悪化するかわからない患者さんもいます。そのため、機器の表示値や設定だけでなく患者さんの呼吸状態などの様子も確認する必要があります。

【はじめに】

人工呼吸器には様々なモードがあり、患者さんの容態に合わせて最適なモードを選択する必要があります。人工呼吸器の換気様式を大きく2つに分けるとすると量規定と圧規定に分けることができます。

人工呼吸器の使用中点検などで、人工呼吸器の換気様式や設定条件を観察してみると、その患者さんの大まかな容態が予測できます。

今回は、人工呼吸器の圧規定と量規定について簡単に書いていきたいと思います。

 

【量規定(Volume Contorol:VC)

量規定は一回換気量と吸気流速を規定して患者さんへ送気を行う換気様式です。一回換気量が規定されているため、毎回同じ量のガスを供給することができます。

量規定のメリットとしては、患者さんの病態が変化した場合に低換気や過換気になることがないため、換気量の管理がしやすいという点があります。換気量がある程度保証されているということは、血液ガス(特にPaCO2)のコントロールがしやすいとも言えます。

量規定のデメリットとしては、気道内圧が規定されないため肺コンプライアンスの低い場合には、肺損傷が生じやすいということがあげられます。また、気管チューブなどからリークが生じた場合には、低換気になります。

量規定に関しては肺コンプライアンスが低くなく、病態の安定した患者さんに対して使用する方が良いと考えます。

 

【圧規定(Pressure Control:PC)

圧規定は気道内圧と吸気時間を規定して患者さんへ送気を行う換気様式です。気道内圧が規定されているため一回換気量は変動しますが、気道内圧の急激な変化がありません。

圧規定のメリットとしては、気道内圧が安定していることにあります。そのため、肺コンプライアンスの低い病態に対して使用されます。その他にも、多少のリークが生じた場合でも設定した気道内圧になるようにガスが供給されるということもメリットの1つといえます。

圧規定のデメリットとしては、肺コンプライアンスなどの変動により一回換気量が変化してくるということです。そのため、患者さんの状態によっては低換気となる場合もあります。

圧規定は肺損傷のリスクを抑えられるという点より、肺コンプライアンスの低い患者さんに有用だといえます。しかし、一回換気量が一定でないため患者さんの様子を注視しなければなりません。

 

【まとめ】

   量規定は一回換気量と吸気流速を規定して送気を行う。

   量規定は換気量が保証される。

   量規定は肺コンプライアンスの低い患者さんだと気道内圧が高くなる。

   圧規定は気道内圧と吸気時間を規定して換気を行う。

   圧規定は気道内圧が安定する。

   圧規定は肺コンプライアンスの低い患者でも気道内圧が高くならない。

【はじめに】

PEEPPositive End Expiratory Pressureの略称であり、日本語では呼気終末陽圧といいます。

PEEPというのはその名の通り、呼気の最後に一定の陽圧を加えるもので、人工呼吸器の設定項目の1つです。通常の場合では(PEEPがゼロ)、人工呼吸器からガスが送られる(吸気)と気道内圧が上昇し、人工呼吸器の送気が止まると(呼気)気道内圧は低下し、ゼロとなります。しかしPEEPを加えていると、呼気時の気道内圧がある一定の圧以下にならず、そのまま吸気へ移ります。つまり、患者さんの肺には常に陽圧がかかった状態にあるということです。

PEEPについては、臨床工学技士はもちろんのこと集中治療関係の業務に従事する看護師の方にもお馴染みの項目といっていいでしょう。

 

PEEPの目的】

PEEPの最大の目的としては、酸素化の改善であります。肺に取り込まれたガスは肺胞にて血液中に供給されます。人工呼吸器を使用するような患者さんは肺コンプライアンスが低くなっており、肺胞が膨らみにくい状態にあると言えます。

風船を膨らますときを考えると、風船が膨らみ始めるまでが一番きつく、膨らみ始めるとそんなに力を入れてガスを吹き込まなくても膨らんでいきます。肺胞も同様で、膨らみ始めるまでに高い圧力を必要とします。しかし、最初からある程度膨らましておけば、その後は高い圧力を必要としません。

PEEPを加えることで、肺胞が閉じる(虚脱)ことを防げるため、有効膜面積(ガス交換が行える肺胞の面積)が上昇し、その結果酸素化が改善されます。

実際に急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する研究で、PEEPを加え一回換気量を減らすことで、予後が改善されたという報告があります。この研究からもPEEPによる酸素化の改善効果と、最高気道内圧を抑えることによる肺損傷の是正が重要であると言えます。

 

PEEPの生理的な影響】

PEEPを加えることにより肺は常に膨らんだ状態になります。それに伴い、胸郭内の圧力も上昇します。そのため、上下大静脈に戻ろうとする血液が胸郭内の圧力に押され、静脈還流量が低下します。静脈還流量が低下することで、一回拍出量、心拍出量の低下、尿量の低下へとつながります。

上記のことから、PEEPを加える場合には患者さんの心機能の程度も考慮しなければなりません。対策としては、弾性ストッキングやフットポンプなどを使用し末梢で滞留している血液を循環させるといったものがあります。

 

【さいごに】

人工呼吸器の設定を考える時には、肺機能だけでなく心機能や代謝も考慮しなければなりません。意外と思われる方もいると思いますが、臨床工学技士の業務では、機械以外にも幅広い知識が必要です。

【持続注入方式】

吸気側回路に流れる定常流に対してNOを加えて、患者さんへ供給する方法であります。そのため、NOを加えるために流量計が必要となります。

供給されたNOがガス配管より供給される酸素や空気と混合されるため、呼吸器のブレンダと患者口元ではFiO2の値が異なってきます。そのため、患者口元より供給ガスをサンプルし、マルチガスモニタにてFiO2NO濃度を測定する必要があります。

私の勤める施設で使用されているアイノフローシステムでは、患者口元よりサンプルされたガスのNO濃度を測定し、その情報をフィードバックすることで、供給部のNO流量を調節するシステムとなっています。

持続注入方式のメリットとしては、NOと酸素の接触時間が短いということであります。NOと酸素が接触することで副産物であるNO2が産生されます。NO2により気道や肺の損傷が生じる可能性があるため、NO2濃度の経時的なモニタリングも必要になります。

持続注入方式は定常流方式の人工呼吸器での使用になるため、新生児に使用されております。

 

【プレミキシング方式】

プレミキシング方式は、ガスブレンダにてNOを空気や窒素と混合し、人工呼吸器本体へ供給する方式です。プレミキシング方式については、私の勤める病院では使用していないため、システムの構成についてはよくわかりません。基本的な知識としては、定常流方式の呼吸器ではなくても使用できるため、成人に対しての使用が多くなります。

プレミキシングの場合、酸素とNOの接触時間が長くなるため、副産物であるNO2の産生に注意が必要となります。

酸素とNOを人工呼吸器内で混合するため、FiO2を変更すると患者さんへ供給されるNO濃度も変化してしまいます。

 

【モニタリング】

NO療法を行う場合、NO濃度のモニタリングが必要となります。そのため、マルチガスモニタによる実測を行わなければなりません。他にも、副作用としてメトヘモグロビン血症が生じる可能性があるため、メトヘモグロビンをモニタリングする必要があります。

【臨床工学技士の対応】

NO療法は特殊な治療法の1つであるため、使用するデバイスを病棟のスタッフだけで管理するのは難しいと私は考えます。そのため、1日に数回は臨床工学技士が病棟にて動作のチェックやモニタリングの確認をする必要があります。

人工呼吸器とNOの供給デバイス、モニタリング機器のどれか一つでも不具合があると、治療が上手く行われません。そのため自身でNO濃度を算出し、正常な供給、モニタリングが出来ているのか確認することも良いと思います。

NOで使用されるボンベの圧力表示には慣れ親しんだPaではなくpsiが使用されているものもあります。そのため、使用時間の計算なども厄介になります。

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