駆け出しCEのblog

臨床工学技士として日々勉強しております。 このブログでは、自身の知識や学んだことを他のコメディカルとも共有したいと思い作成しています。

カテゴリ: 血液浄化

【はじめに】

人体は免疫反応により異物の除去を行うことで、病気から身を守っています。この時、免疫系により抗体が産生され抗原となる物質に作用します。健常人の場合は、抗体により抗原を弱毒化して生体の防御が行われるのですが、抗体により正常な細胞・組織を攻撃してしまうことがあります。このような病態を自己免疫疾患といいます。

自己免疫疾患は根本的な治療がないため、症状の緩和や改善を図る治療となります。治療法としては、食事療法や薬剤によるものなど様々な方法がありますが、特に症状の重い場合は血液浄化療法により、血液から症状の原因物質を除去する治療が行われます。その治療法の1つが免疫吸着療法となります。

 

【適応疾患】

免疫吸着療法の適応疾患を下記に示します。

   悪性関節リウマチ

   全身性エリテマトーデス

   重症筋無力症

   ギランバレー症候群

   慢性炎症性脱髄性多発根神経炎

   多発性硬化症

上記で述べた疾患において免疫吸着が施行されますが、疾患で使用するカラムが異なるので、注意が必要となります。

 

【治療原理】

   イムソーバPH

イムソーバPHは、リガンドにフェニルアラニンを使用しています。フェニルアラニンは疎水性であるため、疎水性の物質を疎水結合により吸着することができます。疎水性の物質としては、リウマチ因子や抗DNA抗体などがあげられます。

イムソーバPHの適応としては、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、多発性硬化症があります。

 

   イムソーバTR

イムソーバTRは、リガンドにトリプトファンを使用しています。吸着原理は疎水結合であり、抗アセチルコリンレセプタ抗体、抗ガングリオシド抗体の吸着に適しています。

イムソーバTRの適応としては、重症筋無力症、ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、多発性硬化症があります。

 

   セレソーブ

セレソーブはリガンドにデキストラン硫酸を用いており、静電気的相互作用により陽性荷電物質を吸着します。LDL吸着と同じ原理であるが、担体である多孔質セルロースビーズの径を小さくすることにより、抗DNA抗体を選択的に吸着できるようになっています。

セレソーブの適応としては、全身性エリテマトーデスがあります。

 

【注意点】

セレソーブの場合はLDL吸着と同様で、ブラジキニン産生による血圧低下に注意が必要となります。また、カラムにより吸着対象が異なってくるため、カラムの選択が適正に行われているかなども確認する必要があります。

 

【さいごに】

免疫吸着は他の血漿吸着療法に比べ、適応疾患が多いためそれぞれの病態を把握しなければなりません。またカラムの種類も複数あるため、間違った使用を防ぐためにカラムの管理方法も考慮しなければなりません。

【はじめに】

ビリルビンは寿命(120)となった赤血球が脾臓や肝臓で破壊されるときに生成(間接ビリルビン)されます。通常であれば、肝臓で処理(直接ビリルビン)され尿として排泄されます。肝機能が低下するとビリルビンの排泄能も低下し、血中のビリルビン濃度が上昇します。

ビリルビンは黄疸の要因物質であり、毒性を有するため高ビリルビン血症などの病態では、ビリルビン除去が必要となります。

 

【適応疾患】

ビリルビン吸着の適応疾患としては、劇症肝炎と術後肝不全があります。術後肝不全に対するビリルビン吸着の適応基準を下記に示します。

   総ビリルビンが5mg/dL以上で上昇傾向

   ペパプラスチンテスト40%以下

   昏睡Ⅱ以上

上記のうちで2項目に該当すれば、術後肝不全に対してビリルビン吸着を施行することができます。

また劇症肝炎に対しては10回、術後肝不全に対しては7回が治療回数の限度とされています。

 

【治療原理】

ビリルビン吸着に使用されるカラムとしてプラソーバ(商品名)があります。プラソーバは、陰イオン交換樹脂であるスチレン・ジ・ビニルベンゼン共重合体をリガンドとして使用しています。ビリルビンや胆汁酸は、陰性に荷電しているため静電気的相互作用により吸着除去することが可能となります。またカラムの表面を多孔質にすることにより、表面積を大きくなるためアルブミンと結合した間接ビリルビンの除去も可能としています。

 

【注意点】

ビリルビン吸着では吸着材に陰イオン交換樹脂を使用しています。従って、陰性に荷電するヘパリンも吸着対象となります。このことから、治療中に抗凝固薬としてヘパリンを使用する場合は、通常よりも量を増やして対応しなければならない。

肝不全による凝固因子が低下に対して、血漿交換(PE)のように新鮮凍結血漿(FFP)の補充などができないという点も考慮して治療を行わなければなりません。

 

【治療条件】

ビリルビン吸着を行う場合の血流量は100mL/min前後であり、分離血漿流量は血流量の20%程度で行います。治療時間は2時間前後であり、TMPの管理は50mmHg程度で行います。

プラソーバの吸着力は濃度に依存しているため、総ビリルビン濃度が低くなるにつれて吸着力も低下していきます。また、ビリルビン吸着によりカラムが黄色く着色するため、目視による吸着量の大まかな把握が可能となります。

 

【さいごに】

陰イオン交換樹脂にヘパリンが吸着されることや、肝不全による凝固因子の低下といった要因を考慮しながら治療中および治療後のACT管理を行わなければなりません。また、血漿分離器とカラムが並列に接続されるため血漿交換(PE)に比べプライミングボリュームが増えるため、血圧低下にも注意が必要となります。

【はじめに】

LDL吸着は血漿吸着療法(plasma adsorption:PA)1つであり、血液を血球成分と血漿成分に分離して、血漿成分のみをカラムに通すことでLDLを吸着除去する治療法であります。

LDL(low density lipoprotein)コレステロールはリポ蛋白の一種であり、動脈硬化の要因物質の1つであります。また、血中のLDLコレステロールが高値を示す場合は、冠動脈疾患のリスクも高くなります。

 

【適応疾患】

LDL吸着の適応疾患としては、食事の改善及び運動療法また薬物治療をおこなっても治療効果が得られない場合に行われます。さらに、保険適応となっている疾患については下記のようになっています。

   家族性高コレステロール血症

   閉塞性動脈硬化症であり、Fontaine分類以上かつ総コレステロール値が220mg/dLLDLコレステロール値が140mg/dL以上

   ネフローゼ症候群であり巣状糸球体硬化症で総コレステロール値が250mg/dL以上

 

【治療原理】

LDL吸着に使用するカラムは、多孔質セルロースビーズを担体、リガントにはデキストラン硫酸を用いております。デキストラン硫酸は、陰性荷電を多く有しており陽性荷電の多い物質を静電結合により吸着します。LDLコレステロールは、外側をリン脂質とアポ蛋白Bで覆われています。アポ蛋白Bは強い陽性であるため、LDLコレステロールは吸着されます。

 

【注意点】

   血圧低下

LDL吸着では血漿分離分離器を使用するのことや、カラムを2本並列に接続して吸着を行うため、プライミングボリュームが増加します。そのため、体外循環量が増加し血圧低下につながります。

 

   ショック

血漿が吸着材に接触することにより、ブラジキニンが産生されます。ブラジキニンは血管拡張作用があるため、血圧低下へとつながります。ここで、ACE阻害薬を服用していると症状を悪化させ、ショック状態へと陥る場合があります。そのため、LDL吸着を行う際には、ACE阻害薬の服用は禁忌とされます。

 

   出血

LDL吸着を行う場合は、凝固因子も吸着されることや、抗凝固療法により出血しやすい状態となります。

 

【治療条件】

LDL吸着を行う場合の血流量は、80mL/min前後であり、分離血漿流量は血流量の30%程度とします。上記の条件にて約3時間程度治療を行います。治療中は、TMP50mmHg程度になるようにコントロールします。また、疾患により治療期間や治療回数が異なってきます。

 

【さいごに】

閉塞性動脈硬化症の患者さんに対しては、DFPPによりLDL吸着と同等のLDL除去効果が得られます。そのため、ブラジキニン発生などによる血圧低下が気になる患者さんでは、DFPPを検討しても良いと考えます。

【はじめに】

β2ミクログロブリン吸着は、ヘキサデシル基を多孔質セルロースビーズに固定化した吸着材を用いたカラムを使用しています。吸着対象となるのは、名前の通りβ2ミクログロブリンとなります。吸着材のヘキサデシル基とβ2ミクログロブリンの疎水結合による吸着除去を目的としています。β2ミクログロブリン吸着用カラムとしてはカネカメデックス社製のリクセルがあります。

本日は、β2ミクログロブリン吸着についてまとめていきたいと思います。

 

【適応】

β2ミクログロブリン吸着の適応は「透析アミロイド症」であり、下記の要件を満たしている必要があります。

   β2ミクログロブリン吸着の沈着が確認されている。

   透析を10年以上行っている。

   手根管手術の経験がある。

   画像診断で骨嚢胞像がある。

 

【回路構成】

リクセルを用いてβ2ミクログロブリン吸着を行う場合には、通常のHDHDFを行う膜と直列にリクセルを置きます。血液の流れとしては、脱血された血液がポンプチューブを通り、Aチャンバを通過しリクセルに到達します。その後Vチャンバを通りHDもしくはHDF用の膜を通過し、患者体内へ戻るといった流れです。

リクセルの充填液としてクエン酸ナトリウムが用いられています。クエン酸ナトリウムが体内へ流入すると、カルシウムキレートによる低カルシウム血症やアシドーシスを引き起こします。そのため、プライミング時には1L以上のヘパリン加生理食塩水にて洗浄を行う必要があります。

 

【治療条件・注意点】

通常のHDHDFの設定で行うため血液流量は100~250mL/minであり、治療時間は3~5時間となります。リクセルが回路内にある分、プライミングボリュームが異なってくるため血圧低下や残血などには気を付けなければなりません。残血が多くなる場合には、次回の治療で膜面積を小さくすることや、エリスロポエチンの投与なども考慮する必要があります。

リクセルを使用する場合、特に注意するべきなのがインスリンの吸着です。人体で産生されるホルモンにおいてインスリンは唯一の血糖値を下げる作用のあるホルモンとなっています。

透析患者さんの場合、低血糖が問題になるため治療中に飴玉を舐めてもらう施設があります。リクセルを使用する場合には高血糖に注意しなければならないため、飴玉については考慮しなければなりません。

 

【さいごに】

リクセルを使用する場合は、透析アミロイド症の中でもかなり重症の場合です。私の勤める病院でもリクセルを使用する症例はあまりありません。そのため、リクセルを使用する症例があるときは、回路構成やプライミング方法を確認して自分が担当するときにスムーズに行えるように準備しておく必要があります。

【はじめに】

エンドトキシン吸着は、エンドトキシンの構成成分であるリピドAに対して吸着性能を有するポリミキシンBを吸着材として使用したカラムにて行います。私の勤める病院では、エンドトキシン吸着用のカラムを商品名でありますPMX(ピーエムエックス)と呼んでおり、医師から「PMXやるよ!」という風に言われたりもします。

私の勤める病院ではCHDFとエンドトキシン吸着を併用した治療が良く行われています。

本日は、エンドトキシン吸着について簡単にまとめていきたいと思います。

 

【エンドトキシンとは】

エンドトキシンとは、グラム陰性菌の菌体外膜に含まれるものであります。そのため、グラム陰性菌が生きているうちはエンドトキシンが放出されることはありません。しかし、グラム陰性菌が死滅して溶菌や機械的破損が生じた場合は、菌体外膜から放出されます。

エンドトキシンが人体へ流入することにより、TNF-αなどのサイトカインやプロスタグランジンなどの炎症性物質の分泌が促進され、エンドトキシンショック、発熱、血液凝固系の異常などを引き起こします。重症化すると多臓器不全を引き起こす場合もあります。

エンドトキシンショックを引き起こす病態としては、敗血症が挙げられます。敗血症の概念としては、全身炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)の中で感染症によるもののことであります。

敗血症性ショックは致死率が30%以上にもなる危険な状態といえます。

 

PMXについて】

エンドトキシン吸着は上記でも述べたように、ポリミキシンBを吸着材としたPMXというカラムを用いて治療を行います。ポリミキシンB自体は、毒性を有するため血中への流入は防がなければなりません。そのため、ポリスチレン線維と共有結合させ、ポリミキシンBを固定化させています。固定化させたポリミキシンBを安定させるため、pH2程度の酸性充填液が用いられています。そのため、4L以上の生理食塩液にてプライミングを行い洗い流す必要があります。プライミングが不十分であると、血圧低下や溶血の要因となるため、プライミングは非常に重要であります。

PMX内での血液の流れとしては、ラジアルフロー方式が採用されており、表面積を大きくしかつ圧損失を低く保てるようになっています。

【さいごに】

エンドトキシン吸着は主にグラム陰性菌感染による敗血症に使用されます。しかし、エンドトキシンを含まないグラム陽性菌による病態に対してもPMXの治療効果が報告されています。この要因としては様々な意見があるため、興味のある方は文献を参照してください。

【はじめに】

吸着療法は大きく血液吸着療法と血漿吸着療法の2つに分けることができます。

吸着療法は単純血漿交換療法や二重濾過膜血漿分離交換に比べ、選択的に病因物質を除去することができます。しかし、適応疾患が限られているため病因物質が特定されてから治療が行われます。

本日は、血液吸着療法と薬物吸着について簡単にまとめていきたいと思います。

 

【血液吸着療法】

全血を吸着材に灌流させ、病因物質を除去する治療法を血液吸着療法(hemo adsorption:HA)または直接血液灌流療法(direct hemo perfusion:DHP)といいます。HADHPどちらの用語を使ってもいいのですが、ここでは血液吸着療法(HA)と呼んでいきたいと思います。

血液吸着療法は、薬物吸着、エンドトキシン吸着、β2-ミクログロブリン吸着などの種類があり、それぞれ異なった吸着材を使用します。血液吸着療法のメリットとしては、単純血漿交換療法や二重濾過膜血漿分離交換療法に比べ選択的な病因物質の除去が行えるという点と血球成分と血漿成分に分離する必要がないため、プライミングボリュームが少ないといった点が挙げられます。

 

【薬物吸着】

薬物吸着は急性期の中毒患者に対して、一般的な対応(解毒・救命処置)を行っても症状が改善せず、むしろ悪化していくような症例に対して行われます。日本中毒学会より血液薬物中毒に対する血液浄化療法の適応基準が示されているので、詳しく知りたい方は参照してください。

現在の薬物吸着で最も多く使用されている吸着材は、活性炭であります。活性炭による薬物の吸着除去は活性炭の細孔に引き寄せられ、吸着されます。つまり、活性炭の細孔の数だけ薬物の吸着除去ができることになります。

細孔に物質が引き寄せられ吸着されるのは、炭素原子と吸着される物質との間に働くファンデルワールス力(分子間引力)によるものであります。そのため、対象物質を吸着することもあるため、非選択的な吸着となります。

抗凝固薬は血液透析と同じように、ヘパリンが主に使用されます。活性炭に血小板付着が生じるため、血栓形成が生じやすいことから、ACTの管理は重要になります。また、メシル酸ナファモスタットは活性炭にてほとんどが吸着されるため、吸着材を通過した後に追加投与が必用となります。

活性炭吸着用のカラムとしては、DHP-1、ヘモソーバCH-350などがあります。適応疾患としては、急性薬物中毒および肝性昏睡であります。

 

【さいごに】

今回は、血液吸着療法の分類と血液吸着療法の1つである薬物吸着について書いていきました。次回からは、エンドトキシン吸着やβ2-ミクログロブリン吸着について書いていきたいと思います。

【はじめに】

二重濾過膜血漿分離交換は英語に訳すとdouble filtration plasmapheresisであり、通常はDFPPと略称で呼ばれています。

今回は、二重濾過膜血漿分離交換について簡単にまとめていきたいと思います。

 

【二重濾過膜血漿分離交換とは】

二重濾過膜血漿分離交換は、血漿分離膜で血球成分と血漿成分を分離した後に血漿成分を血漿成分分画器に通すことで、病因物質を含む血漿と含まない血漿に分離します。その後、血球成分と病因物質を含まない血漿成分を体内に戻し、病因物質を含む血漿成分を破棄するといった治療法です。

二重濾過膜血漿分離交換を行うには、専用の血液回路、専用の血液浄化装置、血漿分離膜、血漿成分分画器、補充液(アルブミン溶液)が必要となります。

血漿成分分画器は、除去対象とする物質の大きさにより最適な膜孔径を選択しなければなりません。そのため、ある程度病因物質を特定することが必要です。

二重濾過膜血漿分離交換のメリットとして、二次膜により血漿成分を分離するため、単純血漿交換のような補充液の大量投与の必要がないため、感染症のリスクが軽減されます。それに伴い、医療費の節減につながります。

デメリットとしては病因物質をある程度特定しなければならないため、単純血漿交換に比べ適応疾患が少ないことや、二次膜を用いるためプライミングボリュームが増えるといったことが挙げられます。

 

【適応疾患】

  多発性骨髄腫

  マクログロブリン血症

  重症筋無力症

  悪性関節リウマチ

  全身性エリテマトーデス

  急性肝不全

  ギランバレー症候群

  家族性高コレステロール血症

  閉塞性動脈硬化症        など…

 

【補充液】

二重濾過膜血漿分離交換の置換液としては、アルブミン溶液が使用されます。新鮮凍結血漿に比べ、感染症やアレルギーのリスクが低いといった特徴があります。

アルブミン溶液の投与量と投与濃度は、除去する物質の除去率、体重、治療前のアルブミン濃度により決定されます。基本的には、医師の指示の下で臨床工学技士が機器の設定を行いますが、知識として把握しておく必要があります。

 

【さいごに】

二重濾過膜血漿分離交換は単純血漿交換に比べ適応疾患が少ない分、選択的な物質除去ができ、単純血漿交換におけるリスク因子を軽減しながら治療ができます。しかし、プライミングボリュームの増加などのデメリットなども考慮しながら治療を行わなければなりません。また、アルブミン溶液を補充しているとはいえ、アルブミン損失による膠質浸透圧の低下もリスクとしては考えられます。

【はじめに】

単純血漿交換は英語に訳すとpiasuma exchangeであり、通常はPEと略称で呼ばれています。今回は、単純血漿交換について簡単にまとめていきたいと思います。

 

【単純血漿交換とは】

単純血漿交換は、血液中の血球成分(赤血球、白血球、血小板)と血漿成分を分離させ、血漿成分を破棄する治療法であります。この治療法は、血漿成分に含まれる病因物質を対象としており、血漿成分ごと病因物質を体外へ破棄することで病態の改善を図るものです。単純血漿交換は適応疾患が多いため、病因が特定されていない患者さんにアフェレシス療法を行う場合の第一選択として使用されたりします。

単純血漿交換を行うには、単純血漿交換用の血液回路、専用の血液浄化装置、血漿分離膜、補充液(新鮮凍結血漿、5%アルブミン溶液)が必要になります。血液浄化装置については、複数の治療モードを有するものもあるため、単純血漿交換のみで専用の装置を使用する場合は少ないです。

 

【適応疾患】

上記でも述べましたが、血漿交換は適応疾患が多いというのが特徴の1つです。下記に血漿交換の適応疾患についてあげていきます。

   多発性骨髄腫

   マクログロブリン血症

   薬物中毒

   重症筋無力症

   悪性関節リウマチ

   全身性エリテマトーデス

   劇症肝炎

   術後肝不全

   急性肝不全

   多発性硬化症

   ギランバレー症候群

   巣状糸球体硬化症

   家族性高コレステロール血症

   閉塞性動脈硬化         など…

 

【補充液について】

単純血漿交換は病因物質と血漿成分を全て破棄するため、血漿成分の補充が必要となります。補充液として使用されているのが、新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma:FFP)5%アルブミン溶液があります。単純血漿交換は他のアフェレシス療法よりも多くの補充液を必要とするため、補充液による感染症の危険性が高くなります。また、新鮮凍結血漿に含まれるクエン酸ナトリウムによる低カルシウム血症のリスクも高まるため、注意が必要となります。

 

【血液流量と血漿分離速度】

血液流量は100mL/min前後が一般的であります。血漿分離速度は血液流量の1/3以下となるように設定することが必要であります。

 

【さいごに】

単純血漿交換は他のアフェレシス療法とはことなり、病因物質を選択的に除去することができません。そのため、生体に必要なタンパクなどの損失により膠質浸透圧の低下、血圧の低下などの合併症を引き起こすリスクもあります。その他にも補充液による合併症もあるため、治療中は患者さんの容態に注意が必要となります。

【はじめに】

I-HDFIntermittent Infusion Hemodiafiltrationの略称であり、日本語では間歇補充型血液透析濾過といいます。

I-HDFの特徴としては、膜を介して補液つまり逆濾過にて補液を行うということです。通常の補液では、オフラインHDFのような補液バックからの補液やオンラインHDFのようなAチャンバもしくはVチャンバでの透析液による補液があります。

I-HDFの場合、透析液側から血液側への逆濾過にて補液を行うため、補液となるのは当然ですが透析液となります。

 

I-HDFの利点】

    末梢循環の改善

間歇的に補液を行うため、通常の透析(HD)に比べ末梢循環の改善が見られます。末梢循環の改善要因としては、補充液による循環血液量の一時的な改善やプラズマリフィリングの促進などがあげられます。

 

    血圧の維持

血液透析中には、除水による血圧低下がよく見られます。中にはショック状態に陥る場合もあり、その対処として補液を行う場合があります。I-HDFの場合では、循環血液量の減少率がHDに比べ少ないため、血圧の維持が期待されます。

 

    ファウリングの改善

ファウリングとは、血液中のタンパクなどが膜に付着することを指します。ファウリングが生じると、その部分では物質の移動が出来なくなるため、有効膜面積(治療が行えている膜面積)が低下します。I-HDFの場合は、透析側から血液側に圧力が加わるため、血液側にて膜に付着するタンパク等が膜から剥がれます。そのため、有効膜面積の維持に効果的といえます。

 

I-HDFの欠点】

    オンラインHDFのような大量の濾過が行えない

間歇的な補液・濾過になるため、オンラインHDFのような大量の濾過はおこなえない。しかし、高齢者などで大量の濾過を行うにはリスクの高いが低分子蛋白の除去を行いたい患者さんに対してはI-HDFが有効であるといえます。

 

    低分子蛋白の吸着除去効果が低い

逆濾過によるファウリングの改善がある一方で、本来なら膜に吸着されている低分子蛋白が膜から剥がれ、血液側に戻ることもある。

しかし、通常のHDに比べ低分子蛋白の除去は良い。

 

【対象患者】

I-HDFはその特徴から、末梢動脈疾患を有する患者さんや循環動態が不安定な患者さんへの使用に適しているといわれています。

また、アルブミンなどのタンパク成分の漏出が抑えられるとも言われており、低栄養状態の患者さんにも有効だと考えられています。

 

【主な設定項目】

    補液開始時間

    補液間隔

    補液速度

    補液量

    補液後除水開始時間

 

【さいごに】

I-HDFの性能としては、HDとオンラインHDFの中間といえます。

膜を介して補液を行うため、オンラインHDFに比べエンドトキシンなどの有害物質混入の危険性はオンラインHDFに比べ低いと個人的には考えています。また、保険点数的にもオンラインHDFと同様な扱いであります。

【はじめに】

先日、血液浄化時に測定する動脈圧について書きました。動脈圧は、脱血側回路内の情報を得るためのパラメータですが、施設によっては測定をしていないところもあります。また、施設によってはAチャンバの無い回路を使用している施設もあり、動脈圧の測定は必須というわけではありません。

静脈圧は、主にダイアライザから送血針までの回路内の状態を反映しています。理論上、脱血状態も反映されますが脱血状態の変化が静脈圧まで反映されるまで時間がかかるためここでは、静脈側回路(返血側)の状態変化による静脈圧の変化について書いていきたいと思います。

 

【静脈圧】

静脈圧は、送血側の回路にて測定をします。そのため主に送血状態のモニタリングとして有効です。

静脈圧の測定は、Vチャンバにて動脈圧と同じようにルートが出ており、そのルートを血液浄化装置の静脈圧測定ポートに接続することで行います。

静脈圧が低下する要因について下記にまとめます。

   ダイアライザ内での凝血がある。

   ダイアライザからVチャンバまでの回路内で凝血がある。

   ダイアライザからVチャンバまでの回路が屈曲している。

   ダイアライザからVチャンバまでの回路で血液リークがある。

   静脈圧測定ラインと圧力測定ポートの接続が緩い。

静脈圧が上昇する要因について下記にまとめます。

    Vチャンバ内にて凝血がある。

    Vチャンバから送血針までの回路内で凝血がある。

    Vチャンバから送血針までの回路で屈曲がある。

    送血針の位置不良。

    圧測定ライン内に血液が流入している。

 

【さいごに】

静脈圧を測定することで、送血側回路の状態を把握することができます。動脈圧を測定しない場合では、静脈圧から脱血状態も判断しなければなりません。また静脈圧だけでなく、実際に回路を触ったりすることもいいと思います。

最後まで読んでくれてありがとうございます。ご意見・ご感想がありましたらコメントやメッセージをよろしくお願いいたします。

 

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