駆け出しCEのblog

臨床工学技士として日々勉強しております。 このブログでは、自身の知識や学んだことを他のコメディカルとも共有したいと思い作成しています。

カテゴリ: 血液浄化


以前、
Kt/Vについて簡単な説明と考え方について書きました。今回は、Kt/Vに少し踏み込んでいきたいと思います。

 

【日本透析医学会の推奨】

日本透析医学会は、透析量について下記の項目を推奨しています。

 

1.    透析量は、尿素のsingle-pool Kt/Vurea(spKt/V)を用いることを推奨する。(1B)

2.    透析量は、月1回以上の定期的な測定を推奨する。

3.    実測透析量として、以下の値を採用する。

1)    最低確保すべき透析量として、spKt/V 1.2を推奨する。(1B)

2)    目標透析量としては、spKt/V 1.4以上が望ましい。(2B)

4.    透析時間は、4時間以上を推奨する。(1B)

 

補足

*本ステートメントは、週3回、16時間未満の維持血液透析患者を対象とする。

引用:日本透析医学会 維持透析ガイドライン 血液透析処方 P597

 

spKt/Vとは何か】

成人男性の約60%は水分で構成されています。そのう2/3が細胞内、1/3が細胞外に分布しております。細胞内外での物質分布が異なるのに加え、体内では常に尿毒素成分が生成されております。

上記で示したパラメータを考慮して生体内の物質分布を算出することは、非常に困難であります。このことから、生体を1つの水槽と仮定したものをシングルプールモデルといいます。

ここで要注意なのが、シングルプールモデルとして生体を考慮したときに、対象とすることが出来る物質は、尿素のみということです。尿素は、分子量が60と小さいため、細胞内外を比較的自由に行き来することが出来ます。そのため、尿素の分布状態を考える場合にシングルプールモデルという考え方ができます。

 

【目標透析量】

欧米の観察研究によると、透析量を増加させることにより、死亡リスクの低下などが報告されています。また、spKt/V1.2~1.3にて死亡リスクの低下が鈍化傾向にあるという報告もされています。そのため、日本透析医学会のガイドラインでは、最低限のspKt/V1.2とし、目標値を1.4としています。

 

spKt/Vの問題点】

体格による影響が出やすい

Kt/Vは、体格による影響が出やすくなっています。体格が小さい人は体内に含まれる体液量も相対的に小さくなります。よって体格の大小により見かけ上、Kt/Vが大きくなったり、小さくなったりします。

 

②対象物質が尿素のみ

spKt/Vは、尿素のみを対象としているためspKt/Vだけでは、低分子タンパクなどの透析指標にはなりません。

 

【参考文献】

日本透析医学会 維持透析ガイドライン 血液透析処方 P597-600

以前に、クリアランスについて書いていきましたが、

本日はクリアランスと血流量の 関係について書いていきます。
まず、最初にクリアランスと血流量はとても親密な関係であります。

クリアランス


この式は以前にも示した算出式です。

 

上記の式をわかりやすく日本語にしてみました。


クリアランス


この式をみると血液流量とクリアランスが比例関係になりそうですが、そうはなりません。

結果から言うと、血液流量上昇によりダイアライザ出口濃度が下がりにくくなり、効率は下がっていきます。

 

【低流量で効率が上がる理由】

血液がダイアライザ内の滞在時間延長

ダイアライザの血液充填量は65mLだったので、滞留が無いと考えた場合、血流量50mL/minの時、通過時間は78秒である。血流量300mL/minの時、通過時間は13秒です。血液内の物質が拡散できる時間が、効率を上げると言えます。

 

血液流量QBと透析流量QDの流量比

血液側から透析液側に物質は移動します。そのとき血液側と透析液側の濃度差が小さくなることが考えられます。そのため、QDQBに比べて大きいと、透析液側の濃度は入れ替わりが早く濃度が低いままで維持できる。そうなると、拡散能力は維持できると言えます。このことから、QBQDが低い方が、効率が上がると言えます。

 

「では低流量の方が良いのではないあか」と思う人もいると思います。

それは、あくまでもダイアライザを通過する血液量が同じ場合であり、時間が恐ろしくかかってしまいます。

そのため、時間効率を考えると高流量の方が良いと言えます。

 

 

【高流量について】

高流量のほうが、透析効率的に絶対的に良いと言える。しかし、血流量を上げても小分子除去能は上がるが、大分子物質の除去能は変わらないとされています。


クリアランス


デメリットは、高流量を実現するために良好なバスキュラーアクセスが必要であること、透析導入初期の患者さん場合、不均衡症候群のリスクにもなることが挙げられます。

他の理由として心臓に負担になるという文面をよく見かけます。心臓に負担になる理由の考察として、返血が静脈圧を上昇させ前負荷が上がるから。他に、末梢血管を通過せずに心臓に戻る血液量が増えるので、末梢血管での血圧が低くなり、血圧を上げるために心機能を上げることによる心負荷が考えられます。


【はじめに】

血液透析を行う場合、透析前後の体重測定を行い、ドライウェイト通り除水が行えているかを確認します。しかし、ドライウェイトは適切な除水量を把握するのに必要な指標であり、血液中の尿毒素成分が適切に除去されたのかまではわかりません。

今回は、透析量の指標の1つであるKt/Vについて簡単にまとめていきたいと思います。

 

Kt/Vとは】

透析量の指標としてKt/V(ケー・ティー・オーバー・ブイ)があります。Kt/Vは、クリアランス(K)と透析時間(t)をかけたものを体液量(V)で割ることで求めることができます。

上記でも説明しましたが、Kt/Vについて単位から考えてみましょう。各パラメータの単位は下記のようになります。

 

クリアランス:mL/min

透析時間:hr

体液量:L

 

上記で示した各パラメータの単位を換算していきますが、計算のイメージがしやすいように適当な数値を入れて説明していきます。

 

クリアランス:180mL/min

透析時間:4時間

体液量:36L

 

上記のパラメータでKt/Vを求めていきます。まず、計算のしやすいように各パラメータの単位をそろえていきます。

 

クリアランス:180mL/min

透析時間:4hr×60240min

体液量:36L×100036000mL

 

単位がそろって計算がしやすくなったので計算をしていきます。

 

Kt/Vに先ほど示した数値を入れると

圧トラ


このようになります。

ここで注目してほしいのは、計算後の数値ではなく算出されたKt/Vの単位です。

簡単な計算なのでわざわざ説明することもないと思いますが、各パラメータの単位は相殺され、無次元数となります。つまりKt/Vに単位はないということです。

 

Kt/Vの解釈】

Kt/Vについて理解するには、各パラメータの意味をしっかりと理解する必要があります。各パラメータの意味を簡単ですが、下記に示します。

 

クリアランス:1分間にキレイになった血液の量。

透析時間:血液透析を行った時間

体液量:患者さんの体内に含まれる水分量

 

つまり、クリアランスと透析時間から透析治療でキレイになった血液量を求めることができます。その数値を患者さんの体液量で割ることで患者さんの全体液が何回キレイになったかを求めることができます。

つまり、Kt/Vは患者さんの全体液が何回透析されたかを示す数値といえます。

 

【さいごに】

今回は、Kt/Vについて簡単に説明しました。今後、さらに突っ込んだ記事を書いていく予定ですので、今回の記事と合わせて読んでください。

よろしくお願いします。

 


【はじめに】

潰瘍性大腸炎や悪性関節リウマチは、病気の原因となる因子がはっきりと解明されていません。しかし、白血球が炎症原因の1つであることはわかっています。そのため、白血球を除去してあげることで炎症症状が軽減されます。今回は、血液浄化領域における白血球除去療法(以下、L-CAPとする)について書いていきたいと思います。

 

LCA-Pの仕組み】

L-CAPの回路図を以下に示します。

 

 

L-CAP回路図


 

L-CAPは静脈より血液を脱血し、専用の吸着材を使用したカラム内に通すことで白血球を吸着除去するといったものです。カラムの構造は以下の通りになります。

 

 

L-CAPカラム構造

 

吸着材にはポリエチレンテレフタレートが用いられ、顆粒球・単球および一部血小板を吸着します。顆粒球・単球はほぼ100%吸着し、血小板は50%前後吸着されます。血液の流れは図に示したように、吸着材の外側に血液が流入し赤血球や血漿成分は吸着材を通過し、返血されます。このようにして顆粒球・単球、一部の血小板を除去することができます。

 

【適応疾患】

L-CAPの適応疾患は、潰瘍性大腸炎と悪性関節リウマチの2つです。

    潰瘍性大腸炎

最初に保健適応となった疾患です。ステロイド抵抗性の潰瘍性大腸炎に対してL-CAPを用いた群とステロイドを増量した群とで行われた研究でL-CAPを用いた群が有意に改善が見られたという報告があります。

また、L-CAPの治療有効率は70%程度といわれています。

 

    悪性関節リウマチ

経口リウマチ薬を服用しても改善が見られなかった症例に対して、有意に改善が見られたという研究報告があります。

【抗凝固薬】

私の勤める施設では、抗凝固薬にメシル酸ナファモスタットを使用しています。潰瘍性大腸炎の場合、消化管出血があるため半減期の短いメシル酸ナファモスタットが有用となります。

メシル酸ナファモスタットは、生食または5%ブドウ糖にて希釈して使用します。


mizu


【はじめに】

透析患者の水分管理は、血液透析を行う上で最も重要な項目の1つです。血液透析で除水を行う際、ドライウェイトに近い体重を目指しますが、自身での水分管理ができていない患者さんは、1回の透析で5kg以上も体重が減少します。急激な除水により血圧低下などをきたせば、治療中止や目標体重まで除水を行えなくなります。

今回は、医療従事者の立場で患者さんの水分管理についてどのように介入すればいいのかを考えましたので簡単にまとめていきます。

 

【水分制限について】

透析患者に対して、水分を制限するのは心不全の防止や負担の少ない血液透析を行うために必要であります。しかし、のどの渇きを我慢するのはなかなか難しいことです。また、何十年と水分を無理に制限することは患者さん自身のQOLを大いに低下させるものです。

このことから、いかに我慢せずに水分量を減らしてもらうかが、慢性透析では必要となります。

当院で行っている水分制限に関する指導は以下の項目です。

 

   薄味の料理を食べてもらう。

濃い味付けの料理となると、必然的に塩分量が多くなります。塩分が多くなると血中のナトリウム濃度が高くなり水分が欲しくなります。食事時に摂取する水分量をなるべく少なくするためには、薄味の料理にしなければなりません。

 

   湯呑のサイズを小さくし、熱めにする。

湯呑のサイズを小さくすることで1回に摂取する水分量を減らします。さらに熱くすることで、ゆっくり飲むようになるため少量でも満足することができます。

 

   麺類や鍋物を避け揚げ物や炒め物をとる。

ラーメン、うどん、そばや鍋などは食事自体の水分量が多くなります。そのため、なるべく水分量の少ない焼く、炒める、揚げるといった調理法を用いた料理が好ましいです。

 

   アルコールの量を減らす。

アルコールを摂取することで自制が効かなくなり、大量に水分を摂取することにつながります。そのため、アルコールは少量にしなければなりません。個人的には禁酒してほしいですが、、、

 

   氷にて水分補給を行う。

特に夏場になると、大量の水分が欲しくなります。このような場合では、氷をかまずに舐めてもらうことが効果的です。

 

【指導方法】

透析患者の中には、長年の透析や水分・食事制限に対してストレスを感じている方もいます。このような場合に「頑張りましょう」と声をかけるのは逆効果となる場合があります。そのため、患者さんの主張を聞き入れながらうまく誘導しながらこちらの意見を伝えることが必要になります。

 

【さいごに】

病院によっては、専門の栄養士や調理師が指導にあたる場合もあります。しかし、治療に関わる私たちが、生活面での水分・食事制限に対して何も知らないというわけにはいきません。

【はじめに】

持続的血液透析濾過(以下CHDFとします)は、主に集中治療領域にて施行されます。通常の血液透析(以下HDとします)は施行時間が4時間ほどですが、CHDFは最大48時間施行することもあります。

今回は、CHDFを開始するときの手技や注意点についてまとめていきたいと思います。

 

【用意するもの】

   処置用シーツ

   雑ガーゼ

   ポリ袋

   アルコール綿

   10mLシリンジ

   生食入りシリンジ

 

【開始時の手技と手順】

   バスキュラーアクセス(以下VAとします)カテーテルの下に処置シーツを敷く。

   VAのクランプが閉じているのを確認して、キャップを外しアルコール綿で拭く。

   VA10mLシリンジを接続しVAのクランプを外す。

   10mLシリンジを引き脱血の確認をする。

   採血した血液をポリ袋に入った雑ガーゼにかけて、血餅の有無を確認する。

   VAのクランプを閉じて、生食入りシリンジを接続する。

   VAのクランプを開け、生食せVAカテ内をフラッシュする。

この時、しっかりと生食がフラッシュされるか確認する。

   VAのクランプを閉じてCHDFの回路と接続する。

   VAのクランプを開けて血液ポンプを目標値(指示値)の半分程度で回す。

   V側まで血液が到達したら徐々に血液ポンプの流量を上げていく。

 

②~⑦の工程は、A側及びV側両方で行う。

④の工程で脱血、⑦の工程で送血状態の確認ができる。

 

【注意点】

CHDFを行う患者さんは、循環動態が不安定な方が多いため、脱血開始時に急激な血圧低下などのバイタル変動に注意が必要となります。そのため、CHDFを施行する前に血圧を含むバイタルの値を見ておくことが必要になります。

脱血や送血の不良があった場合は、医師にカテ位置の確認をしてもらうもしくは、A側とV側を逆に接続したりといった対応が必要になります。

 

【さいごに】

CHDFを行う時には清潔操作が必要となります。VAカテとCHDF回路の接続部から感染などの危険性があるため慎重に手技を行う必要があります。また、自身の身も守らなければならないためスタンダードプリコーションの実施も必要です。

バイタル、清潔操作、感染予防を意識しながらの手技になるため、私自身は気疲れする業務の1つだと考えています。

【はじめに】

人体は免疫反応により異物の除去を行うことで、病気から身を守っています。この時、免疫系により抗体が産生され抗原となる物質に作用します。健常人の場合は、抗体により抗原を弱毒化して生体の防御が行われるのですが、抗体により正常な細胞・組織を攻撃してしまうことがあります。このような病態を自己免疫疾患といいます。

自己免疫疾患は根本的な治療がないため、症状の緩和や改善を図る治療となります。治療法としては、食事療法や薬剤によるものなど様々な方法がありますが、特に症状の重い場合は血液浄化療法により、血液から症状の原因物質を除去する治療が行われます。その治療法の1つが免疫吸着療法となります。

 

【適応疾患】

免疫吸着療法の適応疾患を下記に示します。

   悪性関節リウマチ

   全身性エリテマトーデス

   重症筋無力症

   ギランバレー症候群

   慢性炎症性脱髄性多発根神経炎

   多発性硬化症

上記で述べた疾患において免疫吸着が施行されますが、疾患で使用するカラムが異なるので、注意が必要となります。

 

【治療原理】

   イムソーバPH

イムソーバPHは、リガンドにフェニルアラニンを使用しています。フェニルアラニンは疎水性であるため、疎水性の物質を疎水結合により吸着することができます。疎水性の物質としては、リウマチ因子や抗DNA抗体などがあげられます。

イムソーバPHの適応としては、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、多発性硬化症があります。

 

   イムソーバTR

イムソーバTRは、リガンドにトリプトファンを使用しています。吸着原理は疎水結合であり、抗アセチルコリンレセプタ抗体、抗ガングリオシド抗体の吸着に適しています。

イムソーバTRの適応としては、重症筋無力症、ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、多発性硬化症があります。

 

   セレソーブ

セレソーブはリガンドにデキストラン硫酸を用いており、静電気的相互作用により陽性荷電物質を吸着します。LDL吸着と同じ原理であるが、担体である多孔質セルロースビーズの径を小さくすることにより、抗DNA抗体を選択的に吸着できるようになっています。

セレソーブの適応としては、全身性エリテマトーデスがあります。

 

【注意点】

セレソーブの場合はLDL吸着と同様で、ブラジキニン産生による血圧低下に注意が必要となります。また、カラムにより吸着対象が異なってくるため、カラムの選択が適正に行われているかなども確認する必要があります。

 

【さいごに】

免疫吸着は他の血漿吸着療法に比べ、適応疾患が多いためそれぞれの病態を把握しなければなりません。またカラムの種類も複数あるため、間違った使用を防ぐためにカラムの管理方法も考慮しなければなりません。

【はじめに】

ビリルビンは寿命(120)となった赤血球が脾臓や肝臓で破壊されるときに生成(間接ビリルビン)されます。通常であれば、肝臓で処理(直接ビリルビン)され尿として排泄されます。肝機能が低下するとビリルビンの排泄能も低下し、血中のビリルビン濃度が上昇します。

ビリルビンは黄疸の要因物質であり、毒性を有するため高ビリルビン血症などの病態では、ビリルビン除去が必要となります。

 

【適応疾患】

ビリルビン吸着の適応疾患としては、劇症肝炎と術後肝不全があります。術後肝不全に対するビリルビン吸着の適応基準を下記に示します。

   総ビリルビンが5mg/dL以上で上昇傾向

   ペパプラスチンテスト40%以下

   昏睡Ⅱ以上

上記のうちで2項目に該当すれば、術後肝不全に対してビリルビン吸着を施行することができます。

また劇症肝炎に対しては10回、術後肝不全に対しては7回が治療回数の限度とされています。

 

【治療原理】

ビリルビン吸着に使用されるカラムとしてプラソーバ(商品名)があります。プラソーバは、陰イオン交換樹脂であるスチレン・ジ・ビニルベンゼン共重合体をリガンドとして使用しています。ビリルビンや胆汁酸は、陰性に荷電しているため静電気的相互作用により吸着除去することが可能となります。またカラムの表面を多孔質にすることにより、表面積を大きくなるためアルブミンと結合した間接ビリルビンの除去も可能としています。

 

【注意点】

ビリルビン吸着では吸着材に陰イオン交換樹脂を使用しています。従って、陰性に荷電するヘパリンも吸着対象となります。このことから、治療中に抗凝固薬としてヘパリンを使用する場合は、通常よりも量を増やして対応しなければならない。

肝不全による凝固因子が低下に対して、血漿交換(PE)のように新鮮凍結血漿(FFP)の補充などができないという点も考慮して治療を行わなければなりません。

 

【治療条件】

ビリルビン吸着を行う場合の血流量は100mL/min前後であり、分離血漿流量は血流量の20%程度で行います。治療時間は2時間前後であり、TMPの管理は50mmHg程度で行います。

プラソーバの吸着力は濃度に依存しているため、総ビリルビン濃度が低くなるにつれて吸着力も低下していきます。また、ビリルビン吸着によりカラムが黄色く着色するため、目視による吸着量の大まかな把握が可能となります。

 

【さいごに】

陰イオン交換樹脂にヘパリンが吸着されることや、肝不全による凝固因子の低下といった要因を考慮しながら治療中および治療後のACT管理を行わなければなりません。また、血漿分離器とカラムが並列に接続されるため血漿交換(PE)に比べプライミングボリュームが増えるため、血圧低下にも注意が必要となります。

【はじめに】

LDL吸着は血漿吸着療法(plasma adsorption:PA)1つであり、血液を血球成分と血漿成分に分離して、血漿成分のみをカラムに通すことでLDLを吸着除去する治療法であります。

LDL(low density lipoprotein)コレステロールはリポ蛋白の一種であり、動脈硬化の要因物質の1つであります。また、血中のLDLコレステロールが高値を示す場合は、冠動脈疾患のリスクも高くなります。

 

【適応疾患】

LDL吸着の適応疾患としては、食事の改善及び運動療法また薬物治療をおこなっても治療効果が得られない場合に行われます。さらに、保険適応となっている疾患については下記のようになっています。

   家族性高コレステロール血症

   閉塞性動脈硬化症であり、Fontaine分類以上かつ総コレステロール値が220mg/dLLDLコレステロール値が140mg/dL以上

   ネフローゼ症候群であり巣状糸球体硬化症で総コレステロール値が250mg/dL以上

 

【治療原理】

LDL吸着に使用するカラムは、多孔質セルロースビーズを担体、リガントにはデキストラン硫酸を用いております。デキストラン硫酸は、陰性荷電を多く有しており陽性荷電の多い物質を静電結合により吸着します。LDLコレステロールは、外側をリン脂質とアポ蛋白Bで覆われています。アポ蛋白Bは強い陽性であるため、LDLコレステロールは吸着されます。

 

【注意点】

   血圧低下

LDL吸着では血漿分離分離器を使用するのことや、カラムを2本並列に接続して吸着を行うため、プライミングボリュームが増加します。そのため、体外循環量が増加し血圧低下につながります。

 

   ショック

血漿が吸着材に接触することにより、ブラジキニンが産生されます。ブラジキニンは血管拡張作用があるため、血圧低下へとつながります。ここで、ACE阻害薬を服用していると症状を悪化させ、ショック状態へと陥る場合があります。そのため、LDL吸着を行う際には、ACE阻害薬の服用は禁忌とされます。

 

   出血

LDL吸着を行う場合は、凝固因子も吸着されることや、抗凝固療法により出血しやすい状態となります。

 

【治療条件】

LDL吸着を行う場合の血流量は、80mL/min前後であり、分離血漿流量は血流量の30%程度とします。上記の条件にて約3時間程度治療を行います。治療中は、TMP50mmHg程度になるようにコントロールします。また、疾患により治療期間や治療回数が異なってきます。

 

【さいごに】

閉塞性動脈硬化症の患者さんに対しては、DFPPによりLDL吸着と同等のLDL除去効果が得られます。そのため、ブラジキニン発生などによる血圧低下が気になる患者さんでは、DFPPを検討しても良いと考えます。

【はじめに】

β2ミクログロブリン吸着は、ヘキサデシル基を多孔質セルロースビーズに固定化した吸着材を用いたカラムを使用しています。吸着対象となるのは、名前の通りβ2ミクログロブリンとなります。吸着材のヘキサデシル基とβ2ミクログロブリンの疎水結合による吸着除去を目的としています。β2ミクログロブリン吸着用カラムとしてはカネカメデックス社製のリクセルがあります。

本日は、β2ミクログロブリン吸着についてまとめていきたいと思います。

 

【適応】

β2ミクログロブリン吸着の適応は「透析アミロイド症」であり、下記の要件を満たしている必要があります。

   β2ミクログロブリン吸着の沈着が確認されている。

   透析を10年以上行っている。

   手根管手術の経験がある。

   画像診断で骨嚢胞像がある。

 

【回路構成】

リクセルを用いてβ2ミクログロブリン吸着を行う場合には、通常のHDHDFを行う膜と直列にリクセルを置きます。血液の流れとしては、脱血された血液がポンプチューブを通り、Aチャンバを通過しリクセルに到達します。その後Vチャンバを通りHDもしくはHDF用の膜を通過し、患者体内へ戻るといった流れです。

リクセルの充填液としてクエン酸ナトリウムが用いられています。クエン酸ナトリウムが体内へ流入すると、カルシウムキレートによる低カルシウム血症やアシドーシスを引き起こします。そのため、プライミング時には1L以上のヘパリン加生理食塩水にて洗浄を行う必要があります。

 

【治療条件・注意点】

通常のHDHDFの設定で行うため血液流量は100~250mL/minであり、治療時間は3~5時間となります。リクセルが回路内にある分、プライミングボリュームが異なってくるため血圧低下や残血などには気を付けなければなりません。残血が多くなる場合には、次回の治療で膜面積を小さくすることや、エリスロポエチンの投与なども考慮する必要があります。

リクセルを使用する場合、特に注意するべきなのがインスリンの吸着です。人体で産生されるホルモンにおいてインスリンは唯一の血糖値を下げる作用のあるホルモンとなっています。

透析患者さんの場合、低血糖が問題になるため治療中に飴玉を舐めてもらう施設があります。リクセルを使用する場合には高血糖に注意しなければならないため、飴玉については考慮しなければなりません。

 

【さいごに】

リクセルを使用する場合は、透析アミロイド症の中でもかなり重症の場合です。私の勤める病院でもリクセルを使用する症例はあまりありません。そのため、リクセルを使用する症例があるときは、回路構成やプライミング方法を確認して自分が担当するときにスムーズに行えるように準備しておく必要があります。

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