【はじめに】

酸素解離曲線は、患者さんの呼吸管理を行う上でおさえておかなければならない知識の1つです。私自身も学生時代に何となく暗記していましたが、臨床の現場で人工呼吸器や補助循環、人工心肺などの業務に関わるうちに、しっかりとした理解が必要だと感じました。

本日は、酸素解離曲線を理解するために必要最低限の知識をまとめていきたいと思います。

 

【酸素解離曲線とは】

酸素解離曲線とは縦軸に動脈血酸素飽和度、横軸に動脈血酸素分圧をとり、動脈血酸素飽和度と動脈血酸素分圧の関係を示したS字状のグラフになります。どのようなグラフか気になる方は、Googleで検索してみてください。

ヘモグロビン1つに酸素は4つ結合するが、酸素と結合していない状態及び4つの酸素と結合している状態が安定状態となります。そのため、ヘモグロビンに酸素が1つ結合すると、2つ目3つ目と次々に酸素とヘモグロビンが結合していきます。つまり、最初の1つが結合するまでが困難であり、最初の1つが結合してしまえば、4つまで酸素が次々と結合するのであります。そのため、酸素解離曲線はS字状となり、S字状を形成する要因をアロステリック効果といいます。

 

Bohr効果】

酸素解離曲線が右方変位することを、Bohr効果といいます。通常の酸素解離曲線は、動脈血酸素分圧が60mmHgのとき、動脈血酸素飽和度は90%となっていますが、Bohr効果が生じると動脈血酸素分圧が60mmHgでも動脈血酸素飽和度が80%70%と低くなります。この状態は、ヘモグロビンと結合する酸素の割合が少なくなるということになりますが、組織への酸素供給が増えたため、ヘモグロビンと結合している酸素が解離して組織へ供給されたとも言えます。

上記のことより、Bohr効果が生じるということは、組織が酸素を欲しがっている状況といえます。Bohr効果が生じることで、酸素が消費され二酸化炭素や解糖系の中間代謝産物である2-3DPGが増加します。その結果、pHが低下して酸性へと傾きます。

なお、酸素が必要な状況下は代謝が亢進している場合であるため、体温も上昇します。

 

Haldane効果】

酸素解離曲線が左方変位することをHaldane効果といいます。Haldane効果は上記で説明したBohr効果と正反対の反応となりますので説明は割愛させていただきます。Haldane効果については、Bohr効果に比べて名前を知らない人が多く、教科書などにもなかなかでてきません。

 

【さいごに】

呼吸療法、人工心肺、補助循環を行う上で酸素解離曲線は基礎中の基礎であります。

特に、人工心肺では低体温下や復温後など体温の変化が大きくなります。その中で呼吸管理を行わなければならないため、非常に困難となります。組織の酸素需要をコントロールする業務の1つであるため、注意が必要になります。