【はじめに】

V60は、フィリップス・レスピロニクス社製の人工呼吸器であり、非侵襲的陽圧換気(non-invasive positive pressure ventilationNPPV)専用であります。私の勤める病院でもV60を使用しており、ウィーニング後や呼吸状態の悪い患者さん(経鼻にて酸素投与してもSpO2の低い患者)に使用されます。

V60は、集中治療や病棟など幅広く使用されるため、臨床工学技士ではなくても基本的な知識を持っていても損はないと思います。

 

【ディスプレイ表示】

では、V60のディスプレイ表示について説明します。V60のディスプレイ表示は、上部、中部、下部に分けられており、それぞれが何を示しているのか把握しておく必要があります。

ディスプレイ上部に表示されているのは、患者データとなっています。つまり、患者さんの呼吸状態の実測値となります。項目としては、換気回数、一回換気量、吸気圧などがあります。

ディスプレイ中部に表示されているのは、換気パターンとなっています。表示される波形を見ながら、患者さんの吸気と呼吸器の送気のタイミングが合っているかなどを判断します。また、視覚的に患者さんの呼吸状態がわかりやすいので、換気波形は注意して観察しておく必要があります。

ディスプレイ下部に表示されるのは、人工呼吸器の設定になっています。換気モードや各種設定値、アラーム設定などです。V60の設定に関するものは、ディスプレイ下部で調整することになります。

 

【使用できる換気モード】

V60で使用できる換気モードはS/TPCVAVAPSCPAPの4つであり、患者さんの状態によって決定します。私が業務中に見たことがあるのはS/TPCVCPAPの3つであり、AVAPSに関しては臨床使用を見たことがありません(私個人の経験)。では、それぞれのモードについて説明していきたいと思います。

  S/T

S/Tは、Spontaneous/Timedの略称であります。Spontaneousを直訳すると「自発的や自然的」となります。つまり、人工呼吸器が患者さんの自発呼吸に同期して送気を行うモードとなります。イメージとしてはPSV(pressure support ventilation)のように、患者さんの吸気努力時に呼吸の手助けを行う感じであります。

患者さんの吸気努力が弱い場合は、V60が患者さんの吸気努力を認識しないということもあります。私の勤める病院では、V60を使用するときの大半はこの換気モードで行っております。

 

  PCV

PCVpressure control ventilationの略称であり、日本語に訳すと圧規定換気となります。患者さんの自発呼吸に合わせて一定の圧力をかけることで換気の補助を行います。また、患者さんの自発呼吸が一定の間隔なければ送気を行います。V60を使用する患者さんの中でも自発呼吸の安定しない患者さんに対して使用されるモードとなります。

 

  CPAP

CPAPcontinuous positive airway pressureの略称で、日本語に訳すと持続的気道内陽圧となります。つまり吸気・呼気関係なく、気道内に圧力を加えるという換気モードです。

 

  AVAPS

AVAPSAverage Volume Assured Pressure Supportの略称で日本語では呼ばれることは少ないのですが、日本語では平均換気量保証機能と呼ばれます。このモードは指定する換気量を維持するため、圧補助を自動的に行います。つまり、患者さんの呼吸状態にあわせてサポート圧を変化させ、設定した換気量を維持するモードです。

私自身は、このモードを使用しているのは見たことがありません。