【はじめに】

吸気呼気比逆転換気は英語にするとInverse Ratio Ventilationとなり、IRVと略されます。一般的には、呼気吸気比逆転換気とは呼ばれずIRVと呼ばれることが多いです。IRVは特殊な人工呼吸療法であるため、臨床の現場でも行っているのはほとんど見ることはないと思います。

今回は、IRVについての基礎的知識や効果について書いていきたいと思います。

 

IRVとは】

人工呼吸器の設定項目として吸気呼気比(IE)があります。通常の場合ではIE比を12に設定をして人工呼吸療法を行います。つまり、呼気時間を吸気時間の2倍設けることで、Auto-PEEPの発生などを防いでいます。

IRVの場合は、その名の通り吸気時間と呼気時間の比を逆転させます。つまり、吸気時間を呼気時間よりも長くするということです。適応となる症例については、PEEPによる酸素化が得られない場合、炭酸ガス排出困難な症例、最高気道内圧の異常上昇時などがあります。

 

IRVの効果】

吸気時間が呼気時間よりも長くなると、送気されたガスの呼出が終了しないまま、新たなガスの送気が行われるため、呼気終末の気道内圧が高くなります。このような状態をAuto-PEEPといいます。Auto-PEEPの状態では、肺胞虚脱が生じにくく常に肺胞が開いた状態になります。肺コンプライアンスの低い患者さんの場合、肺胞が虚脱してしまうと、再開通には高い圧力を必要とします。そうなると肺胞の圧損傷や、虚脱状態のまま再開通しないことがあるため、酸素化の効率がわるくなります。IRVの場合、肺胞虚脱を防ぐことでガス交換効率を高めています。

IRVを行う上で注意しなければならないのは、平均気道内圧の上昇による静脈還流量の低下です。静脈還流量が低下することで心拍出量の低下へとつながるため、IRVを行う場合は、循環動態の管理も必要があります。また、肺胞の圧損傷も考えられることから、血液ガスや白血球数などのパラメータにも注目しておく必要があります。

 

【さいごに】

IRVは一般的な人工呼吸療法ではなく特殊なものであるため、症例数が少なくなります。また、病院によっては使用経験がない場合もあると思います。文献も調べましたが数が少なく、古い文献が主になっていました。

私の勤める病院でもIRVを行っているのは、見たことがなく、気道内圧の管理や吸気呼気比の設定基準も明確なものがありません。今後、行われる際には注目して見ていきたいと思います。

では、最後まで読んでくれてありがとうございました。また更新していきたいと思います。