【はじめに】

ビリルビンは寿命(120)となった赤血球が脾臓や肝臓で破壊されるときに生成(間接ビリルビン)されます。通常であれば、肝臓で処理(直接ビリルビン)され尿として排泄されます。肝機能が低下するとビリルビンの排泄能も低下し、血中のビリルビン濃度が上昇します。

ビリルビンは黄疸の要因物質であり、毒性を有するため高ビリルビン血症などの病態では、ビリルビン除去が必要となります。

 

【適応疾患】

ビリルビン吸着の適応疾患としては、劇症肝炎と術後肝不全があります。術後肝不全に対するビリルビン吸着の適応基準を下記に示します。

   総ビリルビンが5mg/dL以上で上昇傾向

   ペパプラスチンテスト40%以下

   昏睡Ⅱ以上

上記のうちで2項目に該当すれば、術後肝不全に対してビリルビン吸着を施行することができます。

また劇症肝炎に対しては10回、術後肝不全に対しては7回が治療回数の限度とされています。

 

【治療原理】

ビリルビン吸着に使用されるカラムとしてプラソーバ(商品名)があります。プラソーバは、陰イオン交換樹脂であるスチレン・ジ・ビニルベンゼン共重合体をリガンドとして使用しています。ビリルビンや胆汁酸は、陰性に荷電しているため静電気的相互作用により吸着除去することが可能となります。またカラムの表面を多孔質にすることにより、表面積を大きくなるためアルブミンと結合した間接ビリルビンの除去も可能としています。

 

【注意点】

ビリルビン吸着では吸着材に陰イオン交換樹脂を使用しています。従って、陰性に荷電するヘパリンも吸着対象となります。このことから、治療中に抗凝固薬としてヘパリンを使用する場合は、通常よりも量を増やして対応しなければならない。

肝不全による凝固因子が低下に対して、血漿交換(PE)のように新鮮凍結血漿(FFP)の補充などができないという点も考慮して治療を行わなければなりません。

 

【治療条件】

ビリルビン吸着を行う場合の血流量は100mL/min前後であり、分離血漿流量は血流量の20%程度で行います。治療時間は2時間前後であり、TMPの管理は50mmHg程度で行います。

プラソーバの吸着力は濃度に依存しているため、総ビリルビン濃度が低くなるにつれて吸着力も低下していきます。また、ビリルビン吸着によりカラムが黄色く着色するため、目視による吸着量の大まかな把握が可能となります。

 

【さいごに】

陰イオン交換樹脂にヘパリンが吸着されることや、肝不全による凝固因子の低下といった要因を考慮しながら治療中および治療後のACT管理を行わなければなりません。また、血漿分離器とカラムが並列に接続されるため血漿交換(PE)に比べプライミングボリュームが増えるため、血圧低下にも注意が必要となります。