【はじめに】

β2ミクログロブリン吸着は、ヘキサデシル基を多孔質セルロースビーズに固定化した吸着材を用いたカラムを使用しています。吸着対象となるのは、名前の通りβ2ミクログロブリンとなります。吸着材のヘキサデシル基とβ2ミクログロブリンの疎水結合による吸着除去を目的としています。β2ミクログロブリン吸着用カラムとしてはカネカメデックス社製のリクセルがあります。

本日は、β2ミクログロブリン吸着についてまとめていきたいと思います。

 

【適応】

β2ミクログロブリン吸着の適応は「透析アミロイド症」であり、下記の要件を満たしている必要があります。

   β2ミクログロブリン吸着の沈着が確認されている。

   透析を10年以上行っている。

   手根管手術の経験がある。

   画像診断で骨嚢胞像がある。

 

【回路構成】

リクセルを用いてβ2ミクログロブリン吸着を行う場合には、通常のHDHDFを行う膜と直列にリクセルを置きます。血液の流れとしては、脱血された血液がポンプチューブを通り、Aチャンバを通過しリクセルに到達します。その後Vチャンバを通りHDもしくはHDF用の膜を通過し、患者体内へ戻るといった流れです。

リクセルの充填液としてクエン酸ナトリウムが用いられています。クエン酸ナトリウムが体内へ流入すると、カルシウムキレートによる低カルシウム血症やアシドーシスを引き起こします。そのため、プライミング時には1L以上のヘパリン加生理食塩水にて洗浄を行う必要があります。

 

【治療条件・注意点】

通常のHDHDFの設定で行うため血液流量は100~250mL/minであり、治療時間は3~5時間となります。リクセルが回路内にある分、プライミングボリュームが異なってくるため血圧低下や残血などには気を付けなければなりません。残血が多くなる場合には、次回の治療で膜面積を小さくすることや、エリスロポエチンの投与なども考慮する必要があります。

リクセルを使用する場合、特に注意するべきなのがインスリンの吸着です。人体で産生されるホルモンにおいてインスリンは唯一の血糖値を下げる作用のあるホルモンとなっています。

透析患者さんの場合、低血糖が問題になるため治療中に飴玉を舐めてもらう施設があります。リクセルを使用する場合には高血糖に注意しなければならないため、飴玉については考慮しなければなりません。

 

【さいごに】

リクセルを使用する場合は、透析アミロイド症の中でもかなり重症の場合です。私の勤める病院でもリクセルを使用する症例はあまりありません。そのため、リクセルを使用する症例があるときは、回路構成やプライミング方法を確認して自分が担当するときにスムーズに行えるように準備しておく必要があります。