【はじめに】

体内に含まれる酸素の指標として、動脈血酸素飽和度(SpO2)が考えられます。動脈血酸素飽和度は酸素と結合しているヘモグロビンの割合つまり酸化ヘモグロビンの割合を示したものであります。

生体に含まれる酸素は、ヘモグロビンと結合しているもの(結合型酸素)と血液中に溶け込んでいるもの(溶解型酸素)があります。動脈血酸素飽和度の場合は、結合型酸素に関するパラメータであるため、溶解型酸素については反映されておりません。

今回は、結合型酸素と溶解型酸素について簡単にまとめていきたいと思います。

 

【結合型酸素】

生体内に存在する酸素のほとんどが結合型酸素によるものです。そのため、集中治療室や手術室などにおける酸素化に関するモニタリングは結合型酸素に関するものです。

血液中に含まれるヘモグロビンは、酸素と結合し各臓器へ運搬する役割を担っています。ヘモグロビン1gに結合可能な酸素量は最大で1.39mLとされています。では、下記の条件にて体内に含まれる結合型酸素の量を求めてみます。

   ヘモグロビン濃度:15mg/dL

   動脈血酸素飽和度:98%

 

動脈血中の結合型酸素量=1.39[mL/g]×15[mg/dL]=20.85vol%

 

このように、動脈血中に含まれる結合型酸素の量は20.85vol%となります。

 

【溶解型酸素】

溶解型酸素はその名の通り血液中に溶け込んでいる酸素のことを指します。溶解型酸素は結合型酸素に比べ、非常に少なく特別な条件下でなければ増加しないため、人工呼吸器を使用するような場合でも注目されません。

溶解型酸素はヘンリーの法則に基づいて増減します。ヘンリーの法則とは、「温度が一定の場合、液体に溶け込む気体の量は圧力に比例する」というものです。すなわち、大気圧下にいる限り溶解型酸素は変動しないということです。

血液への酸素の溶解度は、1mmHgごとに0.0031vol%増加します。では、下記の条件にて体内に含まれる溶解型酸素の量を求めてみます。

   動脈血酸素分圧:100mmHg

 

動脈血中の溶解型酸素量=0.0031[vol%/mmHg]×100mmHg=0.31vol%

 

このように、動脈血中に含まれる溶解型酸素の量は0.31vol%となります。

 

【さいごに】

実際に算出してわかるように、生体内では結合型酸素の占める割合が大多数を占めます。このことからも、普段のモニタリングが結合型酸素の量を左右するパラメータであることが理解できます。

溶解型酸素を増やすことで酸素化を改善する治療法として、高気圧酸素療法があります。この治療についても今回のように、溶解型酸素について理解しておけば、酸素化の仕組みなども理解することができます。