【はじめに】

心臓の役割の1つに、全身臓器への血液供給があります。心臓は、1回の拍動で60~70mLの血液を拍出します。1回の血液拍出量に1分間の拍動数をかけたものが、心拍出量となります。専門的に言うと、

 

心拍出量=1回拍出量×心拍数

 

となります。

心機能が低下すると1回拍出量が低下するため、それに応じて心拍出量も低下します。このことから、心拍出量は心機能を評価する指標の1つになります。

心拍出量を用いた心機能評価として、フォレスター分類があります。フォレスター分類は、心拍出量と肺動脈楔入圧の二つのパラメータにより、心機能を4パターンに分類することができます。

心拍出量の測定方法は侵襲的に行うものから、非侵襲的に求めるものまで様々な方法があります。今回は、スワンガンズカテーテル(サーモダイリューションカテーテル)を用いて測定する熱希釈法と血液ガスより算出するFick法について説明していきます。

 

【熱希釈法】

熱希釈法による心拍出量の測定には、スワンガンズカテーテル(サーモダイリューションカテーテル)が必須であります。スワンガンズカテーテルには側孔があり、そこから冷却した5%ブドウ糖を混合静脈血中に急速注入します。冷却された5%ブドウ糖と血液が混ざりあうことで生じる温度変化を肺動脈内にあるカテ先のサーミスタで測定します。温度変化が大きいほど心拍出量も多くなります。

私の勤める病院では、熱希釈法による心拍出量測定を5回行い、その平均値を測定結果として用いています。5回の測定をするメリットとしては、1回目の測定が上手くいかない場合でも、残りの4回の値を平均して測定結果とすることができます。デメリットとしては、腎不全や右心不全の患者さんに対して水分負荷となるという点です。

病院によっては、5%ブドウ糖ではなく生理食塩水を用いているところもあります。注入液の温度もそれぞれの施設で異なっており、凍らせた状態で保管して、使用直前に半分ほど解凍して使用しているところもあります。

Fick法】

動脈血と静脈血の酸素含有量は異なっています。動脈血中に含まれる酸素は、全身臓器へと分配され、消費されます。そのため静脈血の酸素含有量は動脈血に比べ低くなっています。

上記のことをふまえ、酸素消費量は動静脈酸素含有較差に心拍出量をかけることで求めることが出来ます。この考えより、心拍出量は酸素消費量を動静脈血酸素含有較差で割ることで求めている。

 

心拍出量=酸素消費量/動静脈血酸素含有較差

 

Fick法は上記の考えで心拍出量を算出しております。Fick法の特徴としては、熱希釈法に比べ正確であるため、低心拍出量の患者さんに対しても精度の高い計測が可能であります。

Fick法による心拍出量の計算は、カテラボにより自動で行う施設が多いと思います。算出に必要なパラメータとしては、静脈血の酸素飽和度動脈血の酸素飽和度ヘモグロビン濃度心拍数身長体重です。これらのパラメータにより、Fick法で必要なパラメータを導き出し、導き出した数値よりFickの式を用いて算出が行われます。