【はじめに】

急性呼吸窮迫症候群(以下ARDSとする)は、何らかの原疾患により引き起こされる呼吸不全です。
二次的感染や原疾患による多臓器不全などを含めると死亡率が
40%程度あります。
そのため呼吸不全の治療を行いながら、原疾患の治療も行わなければならないため
非常に困難な疾患となります。

 

ARDSの定義】

ARDS2012年のBerlin定義により診断基準が示されています。

  1週間以内に発症

  胸部X線所見にて両肺に異常な影が見られる

  低酸素血症

  心不全が原因でない肺水腫

 

【人工呼吸器の設定】

通常の場合、人工呼吸器の一回換気量は体重1kgあたり10mL程度とされています。
しかし
ARDSの場合では、肺コンプライアンスが低下しているため、
10kg/mLもの換気量だと肺損傷の原因となります。このことは臨床研究でも証明されており、
ARDSの場合では通常の一回換気量だと予後が悪いとされています。
そのため、一回換気量は
6mL/kgとしてそのかわりPEEP10cmH2O程度加えることで、
肺損傷を防ぎながら肺胞虚脱を防ぐといった対応がとられています。

PEEPに関して15cmH2O程度にしている報告もあり、ARDSの状態(軽度なのか重度なのか)
により適切な値を選択する必要があります。

 

【要因】

ARDSの要因としては、敗血症や誤嚥性肺炎、多発性外傷などがあげられ、
薬剤により引き起こされる場合もあります。
そのため、高齢者の肺炎や感染症などには要注意です。

ARDSの場合、低酸素症に対する人工呼吸器の使用に加えて、
CRRTも行う場合などもあり、1人の患者さんに対して複数台の高度管理医療機器が使用されます。
そのため、臨床工学技士の役割は重要となります。呼吸管理を行いながら代謝の管理までを
行うことから、幅広い知識が必要となります。