エンドトキシンという名称は、臨床工学技士をやっていれば多く聞くことがあると思います。透析の水質管理の場面や敗血症性ショックでの原因物質など、多くの場面で出会うことがあると思います。
エンドトキシンが体内に入ると、多核白血球やマクロファージを介して炎症性メディエーターが産生され、発熱・血圧低下などの敗血症性ショックをきたします。
細菌類にグラム染色すると大きく2種類(紫・赤)に大別されます。グラム陽性菌は紫色に染まる菌で、グラム陰性は紫色に染まらず赤く見えるもの菌です。
その染色の違いは細胞壁の構造によるものです。
グラム陰性菌は水性菌とも呼ばれ、栄養分の乏しい水中でも繁殖することが出来るため、すべての水の汚染原因となっています。
エンドトキシンは、グラム陽性菌に含まれていません。グラム陽性菌にも陰性菌のどちらにもペプチドグリカン層は存在しますが、グラム陰性菌ではペプチドグリカン層の外側にさらに外膜があります。
グラム陰性菌の外膜(最外層)の構造は、脂質二重膜です。外側にリポ多糖体(lipopolysaccharide:LPS)、そして内側をリン脂質が裏打ちしています。LPSは油性のlipid Aと親水性の多糖体が結合した両親媒性分子です。
細菌が死んで膜が破砕した際に遊出してきます!!
エンドトキシンとは物質としてはLPSのことです。
※外毒素とは細菌が産生して外部に放出する毒素で菌体成分ではないです。
しかし、実際はエンドトキシンが遊離する場合、LPSだけで存在することよりも、LPSとリン脂質がくっついた状態(ミセル会合体)で存在していると考えられています。これが大きさの分布に幅広い原因といえます。(分子量が数十万〜数百万)