人工呼吸器の波形には、ループ波形というものがあり、それは圧容量曲線とフローボリューム曲線であります。圧容量曲線は前に書いたので、見てない方は見てください。今回はフローボリューム曲線について書きます。
フローボリューム曲線は縦軸を流量:フロー(L/sec),横軸を肺気量:ボリューム(L)の曲線です。

流量の正側が呼気で、負側が吸気です。時計周りに曲線が描かれます。
※横軸の詳細
肺の空気は全部、外に出ることはありません。なので曲線の横幅は、最大吸気量と残気量で決まります。
①閉塞性換気障害の場合の波形

閉塞性換気障害は気道抵抗が上がるので、流量が遅くなり、正常波形に比べて高さが無い波形になります。
時定数τ=RCから考えると、気道抵抗Rによりτが上昇、τの上昇は変化量低下が考えられます。
②拘束性換気障害の場合の波形

拘束性換気障害は肺のコンプライアンス低下による肺活量減少なので、正常波形に比べて横幅が狭い。
時定数τ=RCから考えると、肺容量Cによりτが減少、τの減少は変化量上昇が考えられます。
③波形から見える時定数と変化量について

フローボリューム曲線で閉塞性換気障害の種類までわかることがあるそうです。
①気管狭窄(上気道の固定性閉塞)

上気道の閉塞は呼気吸気どちらも流量が低く平坦な波形になります。
②声帯麻痺(胸郭外閉塞)

声帯は吸気時に開いて抵抗を減らしています。なので声帯麻痺が起きると、吸気時のみ気道抵抗が上昇し、吸気流量のみが減少します。
ほかにも疾患別のフローボリューム曲線は、検索すれば沢山でてきます。それらの波形の形を覚えるのではなく、曲線の仕組みを理解すれば、形だけで呼吸の状態を予測できるのではないでしょうか。