透析患者の水分管理は、血液透析を行う上で最も重要な項目の1つです。血液透析で除水を行う際、ドライウェイトに近い体重を目指しますが、自身での水分管理ができていない患者さんは、1回の透析で5kg以上も体重が減少します。急激な除水により血圧低下などをきたせば、治療中止や目標体重まで除水を行えなくなります。
今回は、医療従事者の立場で患者さんの水分管理についてどのように介入すればいいのかを考えましたので簡単にまとめていきます。
透析患者に対して、水分を制限するのは心不全の防止や負担の少ない血液透析を行うために必要であります。しかし、のどの渇きを我慢するのはなかなか難しいことです。また、何十年と水分を無理に制限することは患者さん自身のQOLを大いに低下させるものです。
このことから、いかに我慢せずに水分量を減らしてもらうかが、慢性透析では必要となります。
当院で行っている水分制限に関する指導は以下の項目です。
① 薄味の料理を食べてもらう。
濃い味付けの料理となると、必然的に塩分量が多くなります。塩分が多くなると血中のナトリウム濃度が高くなり水分が欲しくなります。食事時に摂取する水分量をなるべく少なくするためには、薄味の料理にしなければなりません。
② 湯呑のサイズを小さくし、熱めにする。
湯呑のサイズを小さくすることで1回に摂取する水分量を減らします。さらに熱くすることで、ゆっくり飲むようになるため少量でも満足することができます。
③ 麺類や鍋物を避け揚げ物や炒め物をとる。
ラーメン、うどん、そばや鍋などは食事自体の水分量が多くなります。そのため、なるべく水分量の少ない焼く、炒める、揚げるといった調理法を用いた料理が好ましいです。
④ アルコールの量を減らす。
アルコールを摂取することで自制が効かなくなり、大量に水分を摂取することにつながります。そのため、アルコールは少量にしなければなりません。個人的には禁酒してほしいですが、、、
⑤ 氷にて水分補給を行う。
特に夏場になると、大量の水分が欲しくなります。このような場合では、氷をかまずに舐めてもらうことが効果的です。
透析患者の中には、長年の透析や水分・食事制限に対してストレスを感じている方もいます。このような場合に「頑張りましょう」と声をかけるのは逆効果となる場合があります。そのため、患者さんの主張を聞き入れながらうまく誘導しながらこちらの意見を伝えることが必要になります。
病院によっては、専門の栄養士や調理師が指導にあたる場合もあります。しかし、治療に関わる私たちが、生活面での水分・食事制限に対して何も知らないというわけにはいきません。