【はじめに】

生体機能代行装置の人工心肺や人工透析では、血液を体外に出して、酸素加や電解質の補正などを行います。同じ体外循環でも、血液流動は異なってきます。

今回は集軸効果(シグマ効果)について書きたいと思います。

 

【集軸効果について】

「集軸効果」とは別名「シグマ効果」と呼ばれています。この効果が発見された経緯について書きます。血液が血管内を流れるとき管の半径が、0.015cm以下なると、ハーゲン・ポワズイユの式を用いて求めると、みかけの粘性率は半径の減少とともに減ることが見られそうです。粘性率が減少した理由として、血球が血管の中心部に集まり、血管壁には血漿成分のみが接触するため、粘性率が低下したと言われています。

なぜ赤血球が中心部に集まるかというと、

層流時の速度分布

層流の場合、血流の粘性によって流れを止めようとするずり応力が流体中に働き、壁近くは流速が低く、管軸部(管の中心部)で最大流速になるため、放物線状の速度分布になる。

層流時の血球分布図











そうなると、血球に揚力が働き、血球が血管の中心方向に移動する。それを集軸効果といいます。

 

【人工腎臓と人工肺について】

人工腎臓(ダイアライザーなど)の膜構造について、一般的には中空糸型の内部灌流型となっています。この中空糸の中でも集軸効果が起きています。そうすると、透析は血液の血漿成分を対象としているため、膜近くには血漿成分しかなく、通過時の抵抗率(粘性率)も抑えられることになります。

逆に血球成分を対象にしている人工肺は、一般的な膜構造が、中空糸の外部灌流型であります。その理由もシグマ効果が起きると、血球と膜の距離が遠くなると考えられます。

 

【おわりに】

血液の挙動や特性は、物理的、工学的に解明されています。血液なら「流体力学」だけかなと思う人もいると思う方もいると思います。血液は固体物質である血球成分と流体物質の血漿成分から構成されるため、「レオロジー」という、弾性理論(固体物質)と流体力学(流体物質)の境界領域の学問も必要であります。