駆け出しCEのblog

臨床工学技士として日々勉強しております。 このブログでは、自身の知識や学んだことを他のコメディカルとも共有したいと思い作成しています。

関東でMEとして働いています。
臨床工学や医療機器について学んだことを
MEの目線から書いていきます。
看護師さんや他のコメディカルでもわかるように
書きますのでみんなで知識を共有していきましょう。

【はじめに】

LDL吸着は血漿吸着療法(plasma adsorption:PA)1つであり、血液を血球成分と血漿成分に分離して、血漿成分のみをカラムに通すことでLDLを吸着除去する治療法であります。

LDL(low density lipoprotein)コレステロールはリポ蛋白の一種であり、動脈硬化の要因物質の1つであります。また、血中のLDLコレステロールが高値を示す場合は、冠動脈疾患のリスクも高くなります。

 

【適応疾患】

LDL吸着の適応疾患としては、食事の改善及び運動療法また薬物治療をおこなっても治療効果が得られない場合に行われます。さらに、保険適応となっている疾患については下記のようになっています。

   家族性高コレステロール血症

   閉塞性動脈硬化症であり、Fontaine分類以上かつ総コレステロール値が220mg/dLLDLコレステロール値が140mg/dL以上

   ネフローゼ症候群であり巣状糸球体硬化症で総コレステロール値が250mg/dL以上

 

【治療原理】

LDL吸着に使用するカラムは、多孔質セルロースビーズを担体、リガントにはデキストラン硫酸を用いております。デキストラン硫酸は、陰性荷電を多く有しており陽性荷電の多い物質を静電結合により吸着します。LDLコレステロールは、外側をリン脂質とアポ蛋白Bで覆われています。アポ蛋白Bは強い陽性であるため、LDLコレステロールは吸着されます。

 

【注意点】

   血圧低下

LDL吸着では血漿分離分離器を使用するのことや、カラムを2本並列に接続して吸着を行うため、プライミングボリュームが増加します。そのため、体外循環量が増加し血圧低下につながります。

 

   ショック

血漿が吸着材に接触することにより、ブラジキニンが産生されます。ブラジキニンは血管拡張作用があるため、血圧低下へとつながります。ここで、ACE阻害薬を服用していると症状を悪化させ、ショック状態へと陥る場合があります。そのため、LDL吸着を行う際には、ACE阻害薬の服用は禁忌とされます。

 

   出血

LDL吸着を行う場合は、凝固因子も吸着されることや、抗凝固療法により出血しやすい状態となります。

 

【治療条件】

LDL吸着を行う場合の血流量は、80mL/min前後であり、分離血漿流量は血流量の30%程度とします。上記の条件にて約3時間程度治療を行います。治療中は、TMP50mmHg程度になるようにコントロールします。また、疾患により治療期間や治療回数が異なってきます。

 

【さいごに】

閉塞性動脈硬化症の患者さんに対しては、DFPPによりLDL吸着と同等のLDL除去効果が得られます。そのため、ブラジキニン発生などによる血圧低下が気になる患者さんでは、DFPPを検討しても良いと考えます。

【はじめに】

β2ミクログロブリン吸着は、ヘキサデシル基を多孔質セルロースビーズに固定化した吸着材を用いたカラムを使用しています。吸着対象となるのは、名前の通りβ2ミクログロブリンとなります。吸着材のヘキサデシル基とβ2ミクログロブリンの疎水結合による吸着除去を目的としています。β2ミクログロブリン吸着用カラムとしてはカネカメデックス社製のリクセルがあります。

本日は、β2ミクログロブリン吸着についてまとめていきたいと思います。

 

【適応】

β2ミクログロブリン吸着の適応は「透析アミロイド症」であり、下記の要件を満たしている必要があります。

   β2ミクログロブリン吸着の沈着が確認されている。

   透析を10年以上行っている。

   手根管手術の経験がある。

   画像診断で骨嚢胞像がある。

 

【回路構成】

リクセルを用いてβ2ミクログロブリン吸着を行う場合には、通常のHDHDFを行う膜と直列にリクセルを置きます。血液の流れとしては、脱血された血液がポンプチューブを通り、Aチャンバを通過しリクセルに到達します。その後Vチャンバを通りHDもしくはHDF用の膜を通過し、患者体内へ戻るといった流れです。

リクセルの充填液としてクエン酸ナトリウムが用いられています。クエン酸ナトリウムが体内へ流入すると、カルシウムキレートによる低カルシウム血症やアシドーシスを引き起こします。そのため、プライミング時には1L以上のヘパリン加生理食塩水にて洗浄を行う必要があります。

 

【治療条件・注意点】

通常のHDHDFの設定で行うため血液流量は100~250mL/minであり、治療時間は3~5時間となります。リクセルが回路内にある分、プライミングボリュームが異なってくるため血圧低下や残血などには気を付けなければなりません。残血が多くなる場合には、次回の治療で膜面積を小さくすることや、エリスロポエチンの投与なども考慮する必要があります。

リクセルを使用する場合、特に注意するべきなのがインスリンの吸着です。人体で産生されるホルモンにおいてインスリンは唯一の血糖値を下げる作用のあるホルモンとなっています。

透析患者さんの場合、低血糖が問題になるため治療中に飴玉を舐めてもらう施設があります。リクセルを使用する場合には高血糖に注意しなければならないため、飴玉については考慮しなければなりません。

 

【さいごに】

リクセルを使用する場合は、透析アミロイド症の中でもかなり重症の場合です。私の勤める病院でもリクセルを使用する症例はあまりありません。そのため、リクセルを使用する症例があるときは、回路構成やプライミング方法を確認して自分が担当するときにスムーズに行えるように準備しておく必要があります。

【はじめに】

エンドトキシン吸着は、エンドトキシンの構成成分であるリピドAに対して吸着性能を有するポリミキシンBを吸着材として使用したカラムにて行います。私の勤める病院では、エンドトキシン吸着用のカラムを商品名でありますPMX(ピーエムエックス)と呼んでおり、医師から「PMXやるよ!」という風に言われたりもします。

私の勤める病院ではCHDFとエンドトキシン吸着を併用した治療が良く行われています。

本日は、エンドトキシン吸着について簡単にまとめていきたいと思います。

 

【エンドトキシンとは】

エンドトキシンとは、グラム陰性菌の菌体外膜に含まれるものであります。そのため、グラム陰性菌が生きているうちはエンドトキシンが放出されることはありません。しかし、グラム陰性菌が死滅して溶菌や機械的破損が生じた場合は、菌体外膜から放出されます。

エンドトキシンが人体へ流入することにより、TNF-αなどのサイトカインやプロスタグランジンなどの炎症性物質の分泌が促進され、エンドトキシンショック、発熱、血液凝固系の異常などを引き起こします。重症化すると多臓器不全を引き起こす場合もあります。

エンドトキシンショックを引き起こす病態としては、敗血症が挙げられます。敗血症の概念としては、全身炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)の中で感染症によるもののことであります。

敗血症性ショックは致死率が30%以上にもなる危険な状態といえます。

 

PMXについて】

エンドトキシン吸着は上記でも述べたように、ポリミキシンBを吸着材としたPMXというカラムを用いて治療を行います。ポリミキシンB自体は、毒性を有するため血中への流入は防がなければなりません。そのため、ポリスチレン線維と共有結合させ、ポリミキシンBを固定化させています。固定化させたポリミキシンBを安定させるため、pH2程度の酸性充填液が用いられています。そのため、4L以上の生理食塩液にてプライミングを行い洗い流す必要があります。プライミングが不十分であると、血圧低下や溶血の要因となるため、プライミングは非常に重要であります。

PMX内での血液の流れとしては、ラジアルフロー方式が採用されており、表面積を大きくしかつ圧損失を低く保てるようになっています。

【さいごに】

エンドトキシン吸着は主にグラム陰性菌感染による敗血症に使用されます。しかし、エンドトキシンを含まないグラム陽性菌による病態に対してもPMXの治療効果が報告されています。この要因としては様々な意見があるため、興味のある方は文献を参照してください。

【はじめに】

吸着療法は大きく血液吸着療法と血漿吸着療法の2つに分けることができます。

吸着療法は単純血漿交換療法や二重濾過膜血漿分離交換に比べ、選択的に病因物質を除去することができます。しかし、適応疾患が限られているため病因物質が特定されてから治療が行われます。

本日は、血液吸着療法と薬物吸着について簡単にまとめていきたいと思います。

 

【血液吸着療法】

全血を吸着材に灌流させ、病因物質を除去する治療法を血液吸着療法(hemo adsorption:HA)または直接血液灌流療法(direct hemo perfusion:DHP)といいます。HADHPどちらの用語を使ってもいいのですが、ここでは血液吸着療法(HA)と呼んでいきたいと思います。

血液吸着療法は、薬物吸着、エンドトキシン吸着、β2-ミクログロブリン吸着などの種類があり、それぞれ異なった吸着材を使用します。血液吸着療法のメリットとしては、単純血漿交換療法や二重濾過膜血漿分離交換療法に比べ選択的な病因物質の除去が行えるという点と血球成分と血漿成分に分離する必要がないため、プライミングボリュームが少ないといった点が挙げられます。

 

【薬物吸着】

薬物吸着は急性期の中毒患者に対して、一般的な対応(解毒・救命処置)を行っても症状が改善せず、むしろ悪化していくような症例に対して行われます。日本中毒学会より血液薬物中毒に対する血液浄化療法の適応基準が示されているので、詳しく知りたい方は参照してください。

現在の薬物吸着で最も多く使用されている吸着材は、活性炭であります。活性炭による薬物の吸着除去は活性炭の細孔に引き寄せられ、吸着されます。つまり、活性炭の細孔の数だけ薬物の吸着除去ができることになります。

細孔に物質が引き寄せられ吸着されるのは、炭素原子と吸着される物質との間に働くファンデルワールス力(分子間引力)によるものであります。そのため、対象物質を吸着することもあるため、非選択的な吸着となります。

抗凝固薬は血液透析と同じように、ヘパリンが主に使用されます。活性炭に血小板付着が生じるため、血栓形成が生じやすいことから、ACTの管理は重要になります。また、メシル酸ナファモスタットは活性炭にてほとんどが吸着されるため、吸着材を通過した後に追加投与が必用となります。

活性炭吸着用のカラムとしては、DHP-1、ヘモソーバCH-350などがあります。適応疾患としては、急性薬物中毒および肝性昏睡であります。

 

【さいごに】

今回は、血液吸着療法の分類と血液吸着療法の1つである薬物吸着について書いていきました。次回からは、エンドトキシン吸着やβ2-ミクログロブリン吸着について書いていきたいと思います。

【はじめに】

二重濾過膜血漿分離交換は英語に訳すとdouble filtration plasmapheresisであり、通常はDFPPと略称で呼ばれています。

今回は、二重濾過膜血漿分離交換について簡単にまとめていきたいと思います。

 

【二重濾過膜血漿分離交換とは】

二重濾過膜血漿分離交換は、血漿分離膜で血球成分と血漿成分を分離した後に血漿成分を血漿成分分画器に通すことで、病因物質を含む血漿と含まない血漿に分離します。その後、血球成分と病因物質を含まない血漿成分を体内に戻し、病因物質を含む血漿成分を破棄するといった治療法です。

二重濾過膜血漿分離交換を行うには、専用の血液回路、専用の血液浄化装置、血漿分離膜、血漿成分分画器、補充液(アルブミン溶液)が必要となります。

血漿成分分画器は、除去対象とする物質の大きさにより最適な膜孔径を選択しなければなりません。そのため、ある程度病因物質を特定することが必要です。

二重濾過膜血漿分離交換のメリットとして、二次膜により血漿成分を分離するため、単純血漿交換のような補充液の大量投与の必要がないため、感染症のリスクが軽減されます。それに伴い、医療費の節減につながります。

デメリットとしては病因物質をある程度特定しなければならないため、単純血漿交換に比べ適応疾患が少ないことや、二次膜を用いるためプライミングボリュームが増えるといったことが挙げられます。

 

【適応疾患】

  多発性骨髄腫

  マクログロブリン血症

  重症筋無力症

  悪性関節リウマチ

  全身性エリテマトーデス

  急性肝不全

  ギランバレー症候群

  家族性高コレステロール血症

  閉塞性動脈硬化症        など…

 

【補充液】

二重濾過膜血漿分離交換の置換液としては、アルブミン溶液が使用されます。新鮮凍結血漿に比べ、感染症やアレルギーのリスクが低いといった特徴があります。

アルブミン溶液の投与量と投与濃度は、除去する物質の除去率、体重、治療前のアルブミン濃度により決定されます。基本的には、医師の指示の下で臨床工学技士が機器の設定を行いますが、知識として把握しておく必要があります。

 

【さいごに】

二重濾過膜血漿分離交換は単純血漿交換に比べ適応疾患が少ない分、選択的な物質除去ができ、単純血漿交換におけるリスク因子を軽減しながら治療ができます。しかし、プライミングボリュームの増加などのデメリットなども考慮しながら治療を行わなければなりません。また、アルブミン溶液を補充しているとはいえ、アルブミン損失による膠質浸透圧の低下もリスクとしては考えられます。

【はじめに】

単純血漿交換は英語に訳すとpiasuma exchangeであり、通常はPEと略称で呼ばれています。今回は、単純血漿交換について簡単にまとめていきたいと思います。

 

【単純血漿交換とは】

単純血漿交換は、血液中の血球成分(赤血球、白血球、血小板)と血漿成分を分離させ、血漿成分を破棄する治療法であります。この治療法は、血漿成分に含まれる病因物質を対象としており、血漿成分ごと病因物質を体外へ破棄することで病態の改善を図るものです。単純血漿交換は適応疾患が多いため、病因が特定されていない患者さんにアフェレシス療法を行う場合の第一選択として使用されたりします。

単純血漿交換を行うには、単純血漿交換用の血液回路、専用の血液浄化装置、血漿分離膜、補充液(新鮮凍結血漿、5%アルブミン溶液)が必要になります。血液浄化装置については、複数の治療モードを有するものもあるため、単純血漿交換のみで専用の装置を使用する場合は少ないです。

 

【適応疾患】

上記でも述べましたが、血漿交換は適応疾患が多いというのが特徴の1つです。下記に血漿交換の適応疾患についてあげていきます。

   多発性骨髄腫

   マクログロブリン血症

   薬物中毒

   重症筋無力症

   悪性関節リウマチ

   全身性エリテマトーデス

   劇症肝炎

   術後肝不全

   急性肝不全

   多発性硬化症

   ギランバレー症候群

   巣状糸球体硬化症

   家族性高コレステロール血症

   閉塞性動脈硬化         など…

 

【補充液について】

単純血漿交換は病因物質と血漿成分を全て破棄するため、血漿成分の補充が必要となります。補充液として使用されているのが、新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma:FFP)5%アルブミン溶液があります。単純血漿交換は他のアフェレシス療法よりも多くの補充液を必要とするため、補充液による感染症の危険性が高くなります。また、新鮮凍結血漿に含まれるクエン酸ナトリウムによる低カルシウム血症のリスクも高まるため、注意が必要となります。

 

【血液流量と血漿分離速度】

血液流量は100mL/min前後が一般的であります。血漿分離速度は血液流量の1/3以下となるように設定することが必要であります。

 

【さいごに】

単純血漿交換は他のアフェレシス療法とはことなり、病因物質を選択的に除去することができません。そのため、生体に必要なタンパクなどの損失により膠質浸透圧の低下、血圧の低下などの合併症を引き起こすリスクもあります。その他にも補充液による合併症もあるため、治療中は患者さんの容態に注意が必要となります。

【はじめに】

動脈血酸素分(PaO2)は脈血酸素飽和度(SpO2)に次いで患者さんの酸素化に関する評価を行うパラメータであります。動脈血酸素飽和度のように経時的なモニタリングを行うことはできませんが、ある一定の時間間隔で採血を行い、血液ガス分析装置にて測定します。

今回は、動脈血酸素分圧についてその意味と算出について書いていきたいと思います。

 

【分圧とは】

動脈血酸素分圧を理解するためには、「分圧」という言葉について理解する必要があります。分圧という言葉からある程度は連想ができると思いますが、簡単にまとめていきます。

私たちが暮らしている環境は、大気圧下であります。大気圧は1気圧ともいい、ミリメートル水銀柱(mmHg)で表すと760mmHgとなります。私たちが普段吸っている空気は約79%が窒素で約21%が酸素となっています。つまり、760mmHgの内酸素の占める割合は約150mmHg(760×0.21)となります。この150mmHgを大気中の酸素分圧といいます。

つまり、分圧とは1つの気体で占める圧力のことを指します。

 

【動脈血酸素分圧の算出】

動脈血酸素分圧の算出についてまとめていきたいと思います。まず、私たちが大気中から酸素を取り込むときは、大気圧(760mmHg)の約21%が酸素分圧であるため、

 

760×0.21=159.6mmHg(160mmHg)

 

気道から肺胞にかけて相対湿度が100%であるため、760mmHgのうち47mmHgが水蒸気分圧となる。さらに、気道中には生体から産生された二酸化炭素が含まれるため肺胞での酸素分圧は、

 

[(76047)×0.21]40/0.8=142.6mmHg=99.73(100mmHg)

 

となります。

肺胞から血液中へのガス移動は、拡散にて行われます。このとき、酸素分圧が5~15mmHg減少するため、動脈血酸素分圧は90mmHg前後になります。

【人工呼吸器使用時の動脈血酸素分圧】

上記で算出した動脈血酸素分圧は、健常人の日常生活中のものであります。

病院では、人工呼吸器により呼吸管理を行っている場合があります。このとき、吸入している酸素濃度が異なっているため、動脈血酸素分圧は100mmHg以上になる場合もあります。さらに、ECMO時の動脈血酸素分圧はさらに高い値となる場合もあります。

 

【さいごに】

途中の説明をかなり省きました。時間があるときに詳しい情報をまとめていきたいと思います。

ある程度の値を算出により求めて、実際の測定値と比べてみると日常の業務が有意義になりと思います。

ほとんどの場合、計算値と測定値は異なっており、さまざまな要因により動脈血酸素分圧が変化します。変化の要因を考えることで医療従事者としてのレベルの向上につながると思い、僕は実践しています。

【はじめに】

体内に含まれる酸素の指標として、動脈血酸素飽和度(SpO2)が考えられます。動脈血酸素飽和度は酸素と結合しているヘモグロビンの割合つまり酸化ヘモグロビンの割合を示したものであります。

生体に含まれる酸素は、ヘモグロビンと結合しているもの(結合型酸素)と血液中に溶け込んでいるもの(溶解型酸素)があります。動脈血酸素飽和度の場合は、結合型酸素に関するパラメータであるため、溶解型酸素については反映されておりません。

今回は、結合型酸素と溶解型酸素について簡単にまとめていきたいと思います。

 

【結合型酸素】

生体内に存在する酸素のほとんどが結合型酸素によるものです。そのため、集中治療室や手術室などにおける酸素化に関するモニタリングは結合型酸素に関するものです。

血液中に含まれるヘモグロビンは、酸素と結合し各臓器へ運搬する役割を担っています。ヘモグロビン1gに結合可能な酸素量は最大で1.39mLとされています。では、下記の条件にて体内に含まれる結合型酸素の量を求めてみます。

   ヘモグロビン濃度:15mg/dL

   動脈血酸素飽和度:98%

 

動脈血中の結合型酸素量=1.39[mL/g]×15[mg/dL]=20.85vol%

 

このように、動脈血中に含まれる結合型酸素の量は20.85vol%となります。

 

【溶解型酸素】

溶解型酸素はその名の通り血液中に溶け込んでいる酸素のことを指します。溶解型酸素は結合型酸素に比べ、非常に少なく特別な条件下でなければ増加しないため、人工呼吸器を使用するような場合でも注目されません。

溶解型酸素はヘンリーの法則に基づいて増減します。ヘンリーの法則とは、「温度が一定の場合、液体に溶け込む気体の量は圧力に比例する」というものです。すなわち、大気圧下にいる限り溶解型酸素は変動しないということです。

血液への酸素の溶解度は、1mmHgごとに0.0031vol%増加します。では、下記の条件にて体内に含まれる溶解型酸素の量を求めてみます。

   動脈血酸素分圧:100mmHg

 

動脈血中の溶解型酸素量=0.0031[vol%/mmHg]×100mmHg=0.31vol%

 

このように、動脈血中に含まれる溶解型酸素の量は0.31vol%となります。

 

【さいごに】

実際に算出してわかるように、生体内では結合型酸素の占める割合が大多数を占めます。このことからも、普段のモニタリングが結合型酸素の量を左右するパラメータであることが理解できます。

溶解型酸素を増やすことで酸素化を改善する治療法として、高気圧酸素療法があります。この治療についても今回のように、溶解型酸素について理解しておけば、酸素化の仕組みなども理解することができます。

【はじめに】

NPPVNon invasive Positive Pressure Ventilationの略称で日本語では、非侵襲的陽圧換気といいます。名前にも非侵襲的とあるようにNPPVは挿管下では無く、マスク換気にて患者さんの呼吸を補助します。

私の勤める病院では、抜管後の呼吸補助や慢性的な呼吸不全、などにNPPVが使用されており、急性期および慢性期の両方で適応されております。

今回は、NPPVについて簡単にまとめていきたいと思います。

 

NPPVの適応疾患】

NPPVの適応については、様々な疾患で報告がされています。今回は、様々な適応疾患の中で特にエビデンスレベルの高い疾患・場面を下記に示します。

   COPD急性増悪

   抜管およびウィーニング

   心原性肺水腫

   免疫不全患者

上記の項目に加え患者さん自身に意識があることや、挿管を必要としない、患者さんの協力が得られる、顔に創傷が無いなどの条件があります。

 

NPPVのメリット】

NPPVの最大のメリットは非挿管下であることです。非挿管であるため、患者さん自身で食事をとれることや会話ができるため、患者さんのQOL向上が図れます。さらに、気管チューブによる上気道などの損傷がないため、感染症のリスクが低下します。

 

NPPVのデメリット】

マスク換気であるため、基本的に患者さんの理解を得られなければならない。挿管時とは違い鎮静状態ではないため、患者さん自身でマスクの位置をずらすことや、取ってしまうことがあります。この場合、マスク外への送気ガスのリーク量が変わってくるため、思うような結果が得られない場合があります。また、在宅で使用する場合には患者さん自身または家族がマスクフィッティングを行わないといけません。

その他にも、長時間のマスク着用による圧迫で皮膚損傷の危険性もあります。皮膚損傷については、適切なマスク着用によりリスクを低減できますが、皮膚被覆材などを合わせて使用することでリスクはさらに低減することができます。

 

【さいごに】

私の勤める病院では、NPPVの導入時に臨床工学技士が立ち会うことになっております。マスクフィッティングについては看護師さんが行うことが多いですが、機器に表示されるリーク量などを見てマスクフィッティングが適切であるかの確認をします。

また、病棟によっては食事のために一時的に離脱・装着するときに、臨床工学技士に立ち会ってほしいと依頼されることもあります。そのときは、機器の設定や加温加湿器の設定を確認したりします。

NPPVを行っている患者さんには抜管直後で、いつ呼吸状態が悪化するかわからない患者さんもいます。そのため、機器の表示値や設定だけでなく患者さんの呼吸状態などの様子も確認する必要があります。

【はじめに】

閾値とは、何らかの反応や興奮を起こすうえで必要最小限の信号や刺激の物理量のことをいいます。

心臓の興奮は「全か無かの法則」に基づいて起こります。全か無かの法則とは、ある一定の値を持つ刺激つまり閾値を超えないと心臓の収縮が生じないということです。ここでポイントとなるのは、心臓の興奮は閾値を超える刺激によって生じるため、閾値を超えた刺激であれば強度は低くても高くても同じ反応をするという点です。

今回は、ペースメーカに関連する閾値について書いていきたいと思います。

 

【閾値の設定と変化】

ペースメーカにより心臓の興奮をコントロールする場合、閾値よりも大きな値で刺激を行えばよいということになります。そういうことであれば最大出力で刺激を行えばいいと思う方もいると思います。ではなぜ、閾値を測定してペースメーカの出力を変えていくかというと、なるべく低い出力でペーシングを行い電池の寿命を延ばしたいからです。

私の勤める病院では、ペースメーカの出力を初期設定として3Vとしています。そして、術後の閾値変化を見て出力の値を設定します。

刺激閾値は、術後1~2週間の間に上昇していきます。このとき、刺激閾値は植込み時の2倍程度上昇するといわれており、ペースメーカの初期設定はある程度余裕を持った値にしておくべきだと考えます。植込み後1~2週間を過ぎると刺激閾値は徐々に低下していき、植込み時まで戻ります。

退院後は、3~6ヵ月に一度患者さんに通院していただき、プログラマを用いて閾値の測定をしてペースメーカの出力を調整していきます。

 

【まとめ】

   心臓は全か無かの法則に基づいて興奮する。

   ペースメーカは閾値以上の出力設定にする。

   ペースメーカの出力が高いほど電池の消耗がはやい。

   閾値は、術後1~2週間で2倍前後まで上昇する。

   術後1~2週間後は、閾値が低下していき元の値へ戻る。

   閾値の測定はプログラマを用いる。

   退院後も閾値を測定して出力値を変更していく。

 

【さいごに】

ペースメーカの閾値について簡単に書きました。閾値について掘り下げていくと出力値だけでなく、パルス幅なども考慮していかなければなりません。さらに、効率的な刺激について考えるとクロナキシなど難しくなります。

上記で述べたことについては、今後書いていきたいと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。ご意見やご感想がありましたら、メッセージやコメントをよろしくお願いいたします。

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